憧れの人

 

 

今週のお題「憧れの人」

 

はてなブログの「おすすめブログ」「人気エントリー」などを読んでいると、定期的に文章に関する話題が取り上げられているのだが、何が書いてあったかとなるとほとんど覚えていない。

 おそらく「上手な文章を書くには?」「文章上達のテクニック」といった内容の筈なのだが、結局のところ皆が同じ種類の文章を理想としている訳ではないし、これまでに接してきた日本語の質も量も各自がバラバラなので、万能薬めいた法則や技術といったものにはまとめきれないのではないか。

だから、大抵の文章指南はピントがぼやけて印象に残らず、漠然としたアドバイスにしかならない。

とすると、かえって私的な、

「これまでに接してきて、良いと思える文章家」

を挙げていけば何かのヒントくらいにはなるのではないかと思うのだが、なぜか誰もやらないので、とりあえず自分が文章上の影響を受けた人、憧れの人、理想とする人をパーッと挙げてみよう。

この人たちの書いたような文章を真似したいという意味ではなくて、好きで何冊も読んで、今でも憧れるような文章を書いた人のリストである。

 

 

星新一

小松左京

筒井康隆

 

かつて「SF御三家」と呼ばれていた、いわゆる第一世代の人気作家で、今でも文庫で代表作が手に入る。

昔は気づかなかったが、三人とも名文家だと思う。

 

 

山本夏彦

 

この人の文庫本が次第に書店から消えつつあるのは驚きである。

文章が簡潔で、読むと頭の贅肉が落ちるような気がする。

 

 

モンテーニュ

 

自分を材料に自分の考えたことや感じたこと、本の抜き書きをした人なので、「エセー」は「エッセー」の語源どころかブログの元祖と言えなくもない。

岩波文庫版の訳が読みやすく、堅苦しくないのでお勧めする。

 

エセー 1 (岩波文庫 赤 509-1)

エセー 1 (岩波文庫 赤 509-1)

 

 

 

倉橋由美子

 

気づいた時には、自分の好きな作家や詩人や著作家のほとんどは倉橋由美子経由で知った人ばかりだった。

そういう意味では、影響から逃れることが全くできない。ただ倉橋由美子風の文章を書けるかというと無理である(私以外の誰でも難しい)。

 

 

アラン

 

アランも倉橋由美子の影響で知った。今でも、少しアランの文章を読むだけで、かなり書くものが変わってくるように感じられる。そう感じられるだけでも凄いし、自分と波長が合うのだろうと思う。

「幸福論」は題名がつまらなそうだが、中身は面白くて再読、再々読したくなる。

 

幸福論 (岩波文庫)

幸福論 (岩波文庫)

 

 

 

田辺聖子

 

田辺聖子は肩肘張らず、大げさでなくて読みやすい。

川柳に関する本など繰り返し読んで影響を受けている。

 

 

他に思いつくまま名前だけを挙げると、

チェスタトン

四方田犬彦

中島梓栗本薫)、

ラディゲ、

コクトー

三島由紀夫

渋澤龍彦種村季弘

幸田露伴幸田文

夏目漱石

森鴎外森茉莉

石川淳

稲垣足穂

内田百鬼園

泉鏡花

小林秀雄

大岡昇平

吉田健一

須賀敦子

司馬遼太郎

山本周五郎

福原燐太郎、

柴田宵曲

色川武大

小林信彦

野坂昭如

大江健三郎

村上龍

山田風太郎

佐藤雅彦

金井美恵子

岸本佐知子

 

などである。

 

いま現在は、自分で書く文章は無駄な装飾のない、平易な文章が良いと思っている。

水のように抵抗なく読める文章が理想と言ってもよい。

しかし例えば、泉鏡花石川淳吉田健一野坂昭如など、必ずしも簡素とは言いがたい文章から得たものも大きいので、何がどう自分に影響を与えているのかは、自分でも把握しきれない。