チラシの裏の豆知識:花森安治の卒論

 

 

花森安治の卒論は「衣粧の美学的考察」というタイトルで、「衣粧」とは「衣装」と「化粧」とを合わせた造語、参考・引用文献なしが自慢だという。

しかもこの卒論は、何者かが持ち出してしまって読めないとのこと。

久々に再読した「花森安治の仕事」で知った。

 

花森安治の仕事 (朝日文庫)

花森安治の仕事 (朝日文庫)

 

 

この幻の卒論と花森安治の過去を巡るスパイ・スリラー小説が急に出たら買って読みたい。

 

「千夜千冊」でもこの頃の話にチラッと触れた箇所がある。

 

  花森安治は神戸に生まれて、平塚雷鳥の本と宝塚歌劇で育った。平塚と宝塚のもつ両性具有性が花森をはぐくんだというのが、もっぱらの通説だ。
 東京帝大で帝大新聞の編集にたずさわり(学科は美学専攻、卒論は「衣粧の美学的考察」)、そこで扇谷正造田宮虎彦・杉浦民平・佐野繁次郎らと出会って刺激をうけた。結局、佐野の世話で御園白粉(パビリオ)の伊藤胡蝶園の宣伝業務をすることになるのだが、その後の軍務服役は結核のためにまっとうできず、やっと治癒してからは傷痍軍人として大政翼賛会の宣伝部に入って文化動員部の仕事をしつづけた。
 この大政翼賛会時代のことは、戦後になっても一度も花森は口にしなかったらしい。本書にはそのあたりの事情がやや詳しく書かれてはいるが、それでも多くの証言が集められないままにおわったという印象になっている。おそらくは「忌まわしい過去」ということなのだろう。

http://1000ya.isis.ne.jp/0506.html

 


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