ニコルソン・ベイカーの「中二階」の中で「ミシン目」について絶賛する箇所がある。
ここは知る人ぞ知る名調子で、「ミシン目!たたえよその名を!」で検索すると様々なブログやツイッターでの発言が幾つもヒットするほどである。
ミシン目!たたえよその名を!紙やボール紙の繊維をわざと等間隔に傷つけることによって、決められた線に沿って切り離すことを可能にし、切り離した後の断面に細かく毛羽立った白い小さな半円の塚を点々と残す、ミシン目よ!この素晴らしく斬新なアイデアは、パルプ繊維のユニークな性質の認識に新しい時代を切り拓いた。にもかかわらず、ミシン目の発展を記念する国民の祝日があるだろうか?
- 作者: ニコルソンベイカー,Nicholson Baker,岸本佐知子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1997/10
- メディア: 新書
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私も似たような思いを持つことがあって、身近にあるささやかな事物で、いつも「すげ~!」と思っているのは青海苔である。青海苔は、カレーに対する福神漬ほどではないものの、焼きそばやお好み焼きを食べる時に無いと、うんと損をしたような気になる。
またご飯に納豆や、生卵をかけて食べる際も青海苔を少し足すとゴージャスな気分を楽しめる。勿論、青海苔の味も味わえるので「気分+味」で一石二鳥である(注:今、私は少しうまいことを言いました)。
香りも含めると一石三鳥かもしれない(注:ダメ押しでさらに良いことを言いました)。
ついでに言うと、くしゃみもなかなか「すげ~!」と思っている。車の運転中にくしゃみが出た時など「今、死にかけた!」と思ったことが何度もある。交通事故の死亡事故の原因の多くはわき見運転だというが、そのわき見運転扱いの事故のうち半分くらいは、くしゃみの仕業ではないだろうか。くしゃみの力は人間の生死や人生の航路を左右するのである。
もう一つ、称えておきたいのはぬか漬けの大根の葉の茎の部分である。あれは美味しい。しかし、称えれば称えるほど自分がみみっちい、スケールの小さい人間のような気がしてきたので、この辺でもうやめておく。