新年の抱負

 

 

お題「新年の抱負」

 

昨年も一月末に「今年の抱負」というお題で書いたので、やや違うタイトルだが二回目である。

仕事でもブログでも、数字や成果の目標を掲げて、それに向かって邁進するという人が多い。一方、「無理せず」「ゆっくり」「マイペース」という抱負を持つ人もいる。

私は前者のような抱負を一応は持っていて、やらざるを得ないという感じである。後者も心理的にはよく分かる。

その両方を同時に満たすのは難しい。無理をし過ぎないで一定の成果を出すために、どのような持っていき方をするかというと、ここ数年は「試行錯誤」をモットーにするとよいのではないかと考えている。

つまり「一か八か」という真剣な賭けや100%の全力疾走ではなく、長期的に「試しにあれこれやってみる」という姿勢で物事にあたると、消耗せずに上手く事が運べるようである。

「試しにあれこれやってみる」というモットーも「試しに」の部分に比重を置く人と「あれこれ」の部分に置く人と「やってみる」に置く人とに分かれる。私は「試しに」派で、言い換えると「実験してみる」という気持ちと行動を細く長く続けていくようなスタンスである。

ブログも仕事も、大げさな目標や希望を持つよりは「試しにやってみる(≒やってみなければわからない)」といった態度を継続する方が性に合っている。失敗してもダメージが少ないし、次につなげることもできる。

ついでなので、こうした姿勢やアプローチについて書いた本を三冊ほど挙げてみたい。

 

 

馬を飛ばそう

馬を飛ばそう

 

 

 

画期的な発明やアイデアは、普通の思考プロセスと試行錯誤からしか生まれない――
人類史上ずっとゆがめられてきた創造の真実を、iPhone開発からピロリ菌の発見まで
幅広いジャンルの実例をもとに解き明かす。

この本では、新しいものがどのようにして生まれるか、その過程を明らかにする。
読んでいくうちに、創造が奇跡や魔法の類いではなく、小さなステップがしばしば
曲がりくねりながら無数に連なった結果であるということがわかるだろう。
これはIoTに関する私の取り組みにも、そのままあてはまる。
本書「日本版に寄せて――IoTが生まれるまで」より

 

 

この本は比較的新しい本で、お正月に買って読んだ。

モーツアルト創造神話(いきなり交響曲の全部が頭に浮かぶ)が嘘であるという指摘に始まり、創造に関する実例が豊富。

 

 

小さく賭けろ!  世界を変えた人と組織の成功の秘密

小さく賭けろ! 世界を変えた人と組織の成功の秘密

 

 

 

みんな小さく賭けて、素早い失敗、素早い学習を繰り返していた。グーグル、ピクサー、アマゾン、スターバックス、P&G、グラミン銀行、大物コメディアン、有名建築家に学ぶ最新・仕事の進め方。

 

 

この本も実例が多く、特にピクサーの脚本作りにおける試行錯誤の例が印象的。

成功したと言われている企業にも、数多くの失敗と試行錯誤がある。

 

 

仕事は楽しいかね?

仕事は楽しいかね?

 

 

仕事は楽しいかね?」は、多くのビジネス書の中でも屈指の有名作である。

このメルヘンチックな、ホンワカした表紙の絵を見て嫌悪感を持つ人もいるかもしれない。しかし、芯の部分はかなり硬い本で、中には一般的な自己啓発書に対する挑発的な文章もある。

この本もひと言で要約すれば「試行錯誤」に尽きるが、同種の本の中では最も薄くて中身の濃い、実例が適切な本なので、一冊勧めるとしたらこれになる(ちなみに続編は未読)。

 

 

 

本書は、将来への希望もなく日々仕事に追われる主人公が、老人のアドバイスに自己変革のアイデアを見いだしていく物語である。それは、唐突に繰り出される老人の言葉とそれを問いただす「私」の会話で展開していく。たとえば老人は「目標を立てるな」という。「私」は、目標がなければ進歩の度合いが測れず、軌道修正もできないと反論する。しかし老人は、斬新なアイデアや商品がなぜ誕生したかを説き明かし、それらが目前の課題に集中した結果であることを指摘。また、世の中は自分が目標を達成するまで待ってはくれないとも言う。そして「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」「明日は今日と違う自分になる、だよ」などのアドバイスをおくる。

   試すこと、日々変化が必要であること、偶然を見落としていること…。本書のこうしたメッセージは特別なものではないが、それを痛切に感じさせる語り口が独特である。「多くの人は他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで達成しようとしている」などは、自分を振り返らせるのに十分である。

 

 

 

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