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「天城越え」

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バナナマンのコントを見ていたら「天下りって、天城越えみたいなものかと思ってた」という台詞があったので、そう言えば「天城越え」という映画があったよなと急に思い出した。自分はテレビで観た記憶が微かにあるものの、内容はほとんど忘れていた。

 

<あの頃映画> 天城越え [DVD]

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観直してみると「現在」「過去」「そのまた少し過去」「また現在」という具合に時間が行ったり来たりするので、多少ややこしく記憶に残りにくい話ではある。

内容は「老刑事が過去の事件を洗い直す」という大枠があるので、そこは「コールドケース」風に思えるし、昔の話が始まってみると鏡花の「高野聖」風でもある(行商人や美女や知的障害者風の人物などと出会う)。また、ローカルでダークな「銀河鉄道999」という風に見えなくもない。

しかし何と言ってもこの映画は、田中裕子の存在なくしては語れない。

田中裕子を見せるのが目的で、そこから逆算して全てを構成しているのではないかと思わせるような場面が幾つもある。

殴られる田中裕子、蹴られる田中裕子、煙草の煙を刑事の顔に吹き付ける田中裕子、キャットファイトをする田中裕子、雨の中に佇んで自分だけに何かを言ってくれる田中裕子、ボクの足の傷を手当してくれる田中裕子、チラリと着物から首筋を見せる田中裕子、薄幸そうで実際に薄幸なのにヘラヘラしている田中裕子、そしてあんなことやこんなことまでする田中裕子……。

そういう訳で田中裕子を観ているうちに終わってしまうのだが、全編いかにも「昭和」という雰囲気が横溢していた。最後に出てくる天城峠の暴走族の姿も「それも含めて昭和だからネ」と納得して総括したくなる、西暦で1983年の映画というよりは昭和58年の映画だった。ちなみに原作は松本清張で「黒い画集」に同題の作品が収録されている。

 

黒い画集 (新潮文庫)

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