「バタリアン」 - 何かのヒント

「バタリアン」は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の変則的な続編という位置づけになっている。映画の中で「あの映画のアレって、本当は事実なんだよ」という言及があるのだ。そのくせ本作のゾンビは、頭を切り離されても死なず、道具を使い、会話もできて、時々は走るというパワーアップ気味の性質を持っている。

バラバラにしても退治できないので「もう焼くしかない！」と焼却炉で灰にすると、今度は煙がモワ～ッと立ち昇り、雨雲に吸収され豪雨となって降り注ぎ、雨水が大勢の死者を生き返らせるという悪循環である。

「感染」や「ウィルス」というイメージを超越した拡散力で、笑ってしまうほど「絶対に敵わない」というレベルの存在がドシドシ生まれてくる。こうなると「あ～あ」としか言いようのない結末もかえって爽快で後味がよい。

美術館で美術品を鑑賞することで心が癒されるのと同様に、ホラー系のコメディ映画では、人間の愚かさや卑小さを鑑賞することで心が愉快になる。「生きるべきか、死ぬべきか」とハムレットのように悩んでいる人には、こういう映画をお勧めしたい。