「ジャスティス・リーグ」

 

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敵がしょぼい。「いくら何でもこれは酷い」と泣けてくるほどのしょぼさで、予算の割にはヒットしなかったのも納得のしょぼさ加減だった。

 知らない人のために説明すると、長年にわたる封印を破って出てきた敵がどう見ても「実写版デビルマンのコスプレ風のお爺さん」ただ一人なのである。これにはがっかりで、もう少し、せめて数人くらいは手下を率いてほしかった。「率いてくれよ!」とお願いしたくなる悪役は珍しい。

それでも手下が一応いることはいて、蠅と虻が混ざったようなザコ兵士、それが無数にブンブン飛び回っているだけで、作中の台詞でもはっきり「ザコ」と言われていて、悲しいほどその他大勢の、画面を埋めるだけの、やられるだけの存在なのであった。

とにかく「怪人ひとり+無数の戦闘員」という、たったこれだけの布陣では敵としてあまりにも貧寒としていて、中を抜きすぎである。これでは組織図にもならない。

 

 

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せめて「うんと強いラスボス1+幹部的存在2+強い怪人3+前座怪人1+無数の戦闘員」くらいのバランスを考慮した布陣にしたいとは思わないのだろうか。

ワンピースでも山田風太郎でも、数や戦力がある程度は拮抗している状態で勝負が始まるか、主人公側が大いに不利で始まるかである。本作は数の上でその逆になっちゃっているため「あーあ」としか言いようがない。

さらにお爺さんには悪役としての思想・哲学・目的などが徹底的に欠けており、ただ三つの箱を集めるとすごいパワーが得られるとかで、ドラゴンボールの簡略版みたいな筋に一応はなっているのだが、箱が欲しい、パワーが欲しいというだけでは今ひとつ怖さも悪さも焦点がはっきりしないのである。

せめてお爺さんの背の高さを80メートルくらいにするか、段階的に変型でもすれば盛り上がる筈だが、というかそれが定石なのだが、時間か予算の関係でそれもなく、せいぜい4,5メートルくらいの痩せ型で、真っ赤な斧を振り回すのがせいぜいなのであった。

一方、いい者チームはバットマン、ワンダーウーマン、あとは走りっ子、ひげ人魚、サイボーグなど、ややダブついている。このヒーロー軍団が敵と戦っても、あまりダメージを受けないので危機感が伝わってこない。

例えばバットマンが半身不随になるくらいザコに痛めつけられるとか、ワンダーウーマンがお爺さんに片腕を斬り落とされるとか、何かしら「えっ!!!」と思うようなダメージを早い時点で受ければバランスが取れるのだが、敵はヒーローの故郷でちょっと騒ぎを起こす程度で、深刻な犠牲者があまり出ないのである。その辺がどうも「危機が近づいている」という割には切迫感がない。

 

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敵の方だっていい者軍団がボケッとしている隙に、人間をドヒャーッと、何の罪もない人々を人質にする(返してほしければあの箱を出せ)とか、何ヶ国首脳会談とかオリンピックを狙って大勢の人々を殺すとかすればいいのに(よくないけど、悪役はよくないことをするのが義務なので)、特にしないのでやる気が感じられない。

せいぜいロシアの田舎の家族をいじめる程度で、大して悪いことをしていないし、これからやりそうな気配もなかった。どうもお爺さんは悪事よりもあの箱の方に夢中なのだが、観ている側は急に出てきた箱の効力を今ひとつ理解しきれない。

と思ったらその箱で簡単にスーパーマンを復活させてしまう。枷がないので、ジョーカーばかりで7並べをしているというか、飛車角ばかりで将棋を指しているというか、話がひたすら大味になってゆく。チェスでいうと、奪われた駒がふわ~っと返ってくるようなもので、それが嬉しいかというと微妙である。

そういう訳で「強大な敵に多くのヒーローが結集して立ち向かう」という大筋すら成立していなくて、終始「何だか、敵がさほど強くないような気がする」という疑念が消えないままなのである。

スーパーマンなんて、デビルマンとの最後の戦いの時にちょっと席を外す余裕があるくらいで、これではお爺さんが気の毒すぎる。「お前それは謝っておいた方がいいよ、そこは大人になれよ」とアドバイスしたくなるほどであった。

もしかすると「最近、我が家のお爺さんが徘徊してしまうので、たいへん困っていた→しかし、家族や親戚、近所の人や市役所と連携して抑えました」という現実と戦っている人にとっては面白く見える話かもしれないので、そういう方向で邦画として縮小リメイクをすればいいのかもしれない(監督は山田洋次)。

 
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