何とかかんとかの世界

 

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 ダン!とテーブルを叩いて、息子が何とかかんとかした。
「お父さんは僕のことを、何とかかんとかとして扱って、いつも絶対に何とかかんとかじゃないか!」
 姉も大きな声で、何とかかんとかする。
「そうよ、お父さんはいつだって何とかかんとかのことなんか、ちっとも何とかかんとかだわ!そうよ、そうなのよ!」
 さらに、母親も何とかかんとかである。
「あなたって人は何とかかんとかで、いつも何とかかんとかばっかり……、本当にもう、何とかかんとかそのもの!そうに違いないわ!」
 父親に向かって、激しく何とかかんとかしている。
「ちょっと、ちょっと」
 お婆さんが横から何とかかんとかした。
「さっきからね、何とかかんとかって……、お婆ちゃんにはさっぱり、何とかかんとかだよ」
 そこまで黙っていた父親が、やっと何とかかんとかした。
「わかった、お前たちの言いたいことはつまり、何とかかんとか……、ということなんだろう。そうだろう?」
「そりゃいいや、まるで何とかかんとかみたいだ!」
「とうとう、お父さんも何とかかんとかなのね」
「あなた、本当に……、何とかかんとかよ」
「ちょっと、ちょっと」
 お婆さんが再び横から何とかかんとかした。
「さっきからね、何とかかんとか、何とかかんとかって、そればっかり……、お婆ちゃんにはちっとも、何とかかんとかなんだよ」
 重々しく、父親が何とかかんとかした。
「もういい、全ては何とかかんとかなんだ」
「ひゃっほう!もう、何とかかんとかなんだね!」
「そうなのね、何とかかんとかなのね!」
「もう、調子に乗って何とかかんとかしちゃダメですからね!」
 お婆さんはもう、すっかり何とかかんとかだった。