BSで「シャレード」を放送していて、この映画の冒頭のつかみのアイディアの幾つか(電車から◎◎が、とか物陰から銃口が、等)が非常に好きなので観ていたら、いつの間にか二時間経っていた。通して全部を観たのは三回目くらいになるのだが、かえって以前より面白みが増しているようにすら感じられた。
特にオレンジを使ったゲームの場面での「ユーモア」→「ロマンス」→「恐怖」という見事な流れは、上手すぎて上手いことにも気づかないような種類の上手さがある。ほとんど全編がこの調子でスイスイ快調なテンポで進んで、最後の最後まで意外性とユーモアに満ちている。
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謎の主軸が二つあって、一つは25万ドルの行方、もう一つは誰が黒幕なのかという点である。しかし今の目で見るとほぼ常套的、よくあるパターンの真相なのだが、それでも小さなツイストが所々になって飽きさせない。
例えば苺を乗せたショートケーキのデザインが古くならないのと同じように、この映画も古くならないという気がする(何かにつけて「テーマ」とか「いかに生きるべきか」を考えたがる人には向いていないが)。
サントラもデザインが色々あって、見ていて飽きない。
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【ネタバレ】
ここからちょっとネタバレ的になるので、未見の人はそろそろ読むのをやめてほしいのだが、
この映画でいいのは、◎◎商のおじさんだね!!
と今回は激しく思った。
というのもこの映画の中盤は、主人公から見て「誰が敵で、誰が見方かわからない」というスリルで引っ張っていくので、モヤモヤした灰色の状況がずっと続いてしまう。
もう皆が皆、金目当てで目の色を変えているので、このおじさんが「そろそろいらっしゃるだろうと思って、お待ちしていましたよ」なんて言って登場する時点では「ごねて返却を渋るのではないか?」「新しい敵の登場!」という可能性も十分にあるのだ。
しかし、◎◎を愛でるように眺めて説明してくれて、あっさり価値のない◎◎と交換してくれるという本当の善人なので、他の連中とは根本的に価値観が異なる。金銭に囚われていないという、突然この映画にやってきた珍客のような存在である。そういう意味では最後の最後に25万ドルを返そうとする主人公と、全編を通じて本当の仲間であり味方であるのは、このおじさんだけなのかもしれない。
他に脇役ではカフェのおじさんも面白いのだが、こっちのおじさんに対してはかなりわがままな態度をとる主人公の変貌ぶりもいい。
他にもあれこれと言いたくなるのだが、とりあえず長くなったので終り。
五点満点で☆☆☆☆としておこう。