観た映画:「ぼんち」☆☆☆☆

 

 

今週のお題「我が家のご馳走」

今では山崎豊子というとすぐ「社会派」ということになるが、初期は大阪商人を描いた「船場もの」を多く書いていたという。

 

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この映画の原作「ぼんち」はその「船場もの」の一作である。

異世界を舞台にしたファンタジーが「何となく中世ヨーロッパ風」なだけで、さほど異世界という感じを受けなかったりするものだが、この映画の大阪は大商家特有の「妾を持つのが当たり前」という世界なので、自分のいる世界と地続きの異世界という感じがある。

遠いようで近く、近いようで遠い世界とでもいったところか。

 

ぼんち (新潮文庫)

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映画はとにかく女優陣が豪華、かつ一人一人が濃厚な存在感を放っている。

市川雷蔵の演じる若旦那の周囲を衛星のように飛びまわる、

 

中村玉緒(可憐)!

 

若尾文子(どーん)!

 

草笛光子(儚げ)!

 

越路吹雪(たくましい)!

 

そして、

 

京マチ子(どどーん)!!

 

月並みだが、

目のご馳走

と言いたくなる。

 

私がリアルタイムで市川崑の映画を知ったのは「細雪」あたりからだが、どうもあれは間延びしているような、色つきの照明の場面など変てこな印象を受けたものだった。

「ぼんち」の頃は才気煥発、テキパキしたテンポのよい語り口と、重さと軽妙さ、ユーモアと悲しさがうまく同居していて見応えがあった。

こういう日本映画なら毎日でも観たいと思うほど。

五点満点で考えるなら☆四つである。

 

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