今週のお題「ふつうに良かった映画」
「ふつうに良かった映画」というのは、「さほど期待していなかったけど、予想以上に面白かった!」とか「メッチャクチャ期待して観たけど、まあ普通に良かった映画」といったような、複雑なニュアンス抜きで「良かった」という意味だろうか。
そうすると、事前の期待や前評判が大きくなくて、中くらいで、結果も中くらいで良かった場合ということになるのか。
「良いものだと期待して観たら→普通に良かった」
というくらいの匙加減の平坦さが必要になるのか。
意外と難しいお題だが、私の場合は「ローマの休日」を挙げたい。
いかにも「名作」という雰囲気があるので、やや近寄りがたい気がしていたが、三十歳を過ぎてから観てみたら、ふつうに良かった。
あとは「西部劇」というジャンルも古臭くて、勧善懲悪(しかも善悪の決め付けが酷い)で退屈なんだろうなという印象しか持っていなかった。
しかし、初めてこれは「ふつうに良かった!」と「!」つきで思える作品が「赤い河」だった。これも三十を過ぎてから知った。
最初もいいし、中盤もいいし、最後の最後まで目が離せない、そして主人公が魅力的でラストがシャレている、という点では両作とも共通しており、いわば面白い映画のお手本のようなものなので、男女を問わず(つまり男が「ローマの休日」を観てもいいし、女が「赤い河」を観てもいい)未見の人にはお勧めしたい。
もし「ローマの休日」を観て面白いと思ったら、フランク・キャプラの恋愛ものやコメディを観るとよいと思う。もともとキャプラにオファーが行ったのがダメになってウィリアム・ワイラーが監督になったといういきさつが「ローマの休日」にはあるくらいなので。
また「赤い河」を面白く感じた人は、ジョン・フォードの西部劇に進むコースもあるし、ハワード・ホークスの西部劇「リオ・ブラボー」、あるいはホークス関係の他の作品に進んでもよい。
*DVDやブルーレイのパッケージを見ると二作ともカラー風だが、実際は白黒映画なので、その点は注意していただきたい。