家庭菜園は何が面白いのか、どういう点に魅力を感じるのか。ということを余り真剣に考えてはこなかったが、まとめると以下の三点である。
1.食べる喜び
作物を食べて満足できるという点は、家庭菜園をしている誰にも共通している喜びである。
「育てるのは面白いけどさ、実は食べるのが面倒くさいから捨てちゃうんだよ」
という人がいたら凄い。本当に本物の筋金入りの変態である。
それはともかく、食べる喜びには、金銭的なコストパフォーマンスの良さに関する満足感も含まれている。
たった200円程度の種や苗から、これほど多くの実がなって得をした、ということ以外にも「健康的」「季節を感じることができる」という満足感も味覚的な美味しさに微量ながらプラスされている。
2.育てる喜び
私は 猫 に対して感ずるような純粋なあたたかい愛情を人間に対していだく事のできないのを残念に思う。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2336_13491.html
これは寺田寅彦の「子猫」という随筆の有名な一文であるが、本当に純粋かというとそうでもない。子猫や子犬にも美醜があり、少し育って成猫や成犬になると可愛らしさが薄れたりもする。そういう理由で犬や猫を捨ててしまう飼い主もいるほどである。
対して農作物はどうかというと、種を蒔いて芽が出てきただけで健気で可愛らしく感じるし、そこに個体差がない。芽の白さというものは他に喩えようもないほど清らかで純粋で、こちらも打算や損得勘定なしで嬉しく感じることができる。
次第に育つ様子も、見ているだけで楽しい。農薬を使わずとも、簡単な野菜ならほぼほったらかしでも大体うまく育つので手間いらずである。
で最終的には実を食べるのだが、せっかく育てた可愛い野菜ちゃんを食べるなんて残酷、という罪悪感をまったく感じずに食べてしまえる。この辺は理屈としてはやや矛盾しているような気もするのだが、ある意味では「食べられるペット」のようなものである。
3.チャペックの「園芸家12ヶ月」の良さがわかる
「園芸家12ヶ月」は実際に家庭菜園をやってみると面白さがよく分かるようになる。家庭菜園をやっている全ての人にお勧めしたいほどである。
この本をよく理解するため、という理由で家庭菜園を始めるというのも十分ありではないかと思う。
- 作者: カレルチャペック,Karel Capek,小松太郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/03/18
- メディア: 文庫
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いろいろな出版社からいろいろな人の訳が出ているが、私は小松太郎の中公文庫を愛読している。他は読んでいないので良し悪しを比較できないが、強いて言うなら挿絵が魅力的なので、絵が少ない本と多い本があるなら多い方がよいのではないかと思う。