この間、NHKの短歌講座のテキストを買って長距離バスの中で読んだのだが、バスに置き忘れてしまった。せっかくこのブログに書こうと思ってメモしておいたことが全部パーである。
しかしNHKのテキスト以外にも短歌に触れたいと思えば、ネットやツイッターでいくらでも読むことができる。
今回は日本経済新聞の短歌コーナーから、私が気に入った作品を勝手にご紹介してみたい。このコーナーは穂村弘と三枝何々(漢字が出せない)という二人の選者で半々のスペースを分け合っていて、それぞれが十二首選ぶようになっている。
逃げまどい鹿がなくしたハイヒール銃声はまだ近づいてくる
これは穂村側の下の段に掲載されていたもので、選者のコメントはなかった。鹿がハイヒールを履いている筈はないのだが、美脚っぽいイメージがあってセクシーである。
こういう風にチラッと幻想的なイメージを描くような作風には憧れる。私なら下の句は「一つ目の鬼が猟銃を背にどうしたこうした」「赤い目が光り、口には血まみれの牙が生えて云々」とコテコテに塗り固めたくなるが、そうしないところがエレガントで、岡上淑子のコラージュを連想した。