俳句の本を何冊か続けて読んだので、その感想を書いてみたい。
お勧め度は星5つを最高として、
☆5つ→大いにお勧め、買ってでも読むべき
☆4つ→良書、お勧めできる本
☆3つ→ごくごく平均的な本
☆2つ→やや難あり~欠点の目立つ本
☆1つ→駄本、買っても読んでもいけないレベル
としておく。
一冊目は投票によって俳句を下位から順番に並べて、コメントつきで紹介している本である。こういうコンセプトの「映画ベスト100」とか「名盤100選」といった企画はよくある。俳句でその手の本があるとはやや意外で、冒頭に上位の句を予想する記入欄まで用意されている。
読み始めると、最初は同率(一票)で529位の作品が並んでいてやや退屈だがハッとなるような句もチラホラある。次第に上位の作品が出てくると知っている句が増えてきて、気分的に盛り上がる。投票した人のコメントも面白い。
また、構成的に途中で読むのをやめる気にはならないし、そこを飛ばして上位だけ見る気にもならない。
529~285位までの句で、自分が好きな句を幾つか挙げる。
厚餡割ればシクと音して雲の峯
饅頭やあんまんを割ったときに餡が割れる音を「シク」と捉えている。
あれは確かに独特の音と感触である。
みつ豆をギリシャの神は知らざりき
これは橋本夢道という人の作で、あんみつの考案者だという。
てにをはを省きもの言う残暑かな
残暑が厳しくて、喋るのも億劫だという意味である。
昼寝より覚めてこの世の声を出す
自分は日本の夏のだらけた、弛緩した感じを詠んだ句が好みなのかもしれない。
ベスト100からベスト30くらいになると、優秀作品というより「教科書で知った句」が多くなってきて、やや興ざめする。
私としては、上位のベスト10は芭蕉、一茶、蕪村あたりが占めるのではないかと予想した。ウルトラマンの怪獣の人気投票だって、初代やセブンの怪獣が多くなるに決まっている。それと同じ理屈である。
結果は……。
ネタバレになってしまうのではっきり書けないが、ベスト3を完全に的中させるのは大変に難しいとだけ書いておく。
俳句は短歌に比べると、あっさりした味わいなので、一気に読んでもさほど疲れないし、チビチビ読むのにも向いている本である。
お勧め度は、初心者が幅広く有名作品を知るには有益な本だと思うので、やや甘くして☆四つである。