蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
かむかむレモンのやうだ
【解釈と鑑賞】
ふと地面に目をやると、蟻たちが蝶の羽を運んでいる。
その様子が目に留まったことで、筆者は思わずかむかむレモンを連想し、食べたいという欲望を抑えきれなくなってしまっている。
おそらく蝶の羽の鮮やかな黄色が、作者の心にかむかむレモンの色と味と香りとを同時に想起させたのであろう。
「ああ」
という詠嘆の一行には、かむかむレモンを連想するまでの短い時間と深い想いが凝縮されている。
蟻もまた、かむかむレモンが大好きで、思わず色の似ている蝶の羽に飛びついてしまったのであろうか。
それも仕方の無いことである、と納得してしまうほど、かむかむレモンはおいしいのである。