誤用で気になる例を一つ思い出した。
それは「〇〇中」の上にどういう訳か「絶賛」を付けるというもの。
普通は「絶賛上映中!」のように、「多くの人に賞賛されながら上映されている(映画です)」という意味になる。
ところが、
「絶賛開発中」
「絶賛遅刻中」
「絶賛勉強中」
と使われると、何が絶賛されているのかわからない。
今日はたまたま「作家の読書道」を読んでいたら、
デビュー短篇集『オーブランの少女』が話題となり、第二作となる初の長篇『戦場のコックたち』は直木賞と大藪賞の候補になり、注目度が高まる深緑野分さん。その作品世界からも、相当な読書家であったのだろうと思わせる彼女の、読書遍歴とは?
このインタビューの最後に「絶賛執筆中」という発言が出てくる。
本人がそう言ったのを編集者が通していることになるため、誤用だとしたらそれなりに本を読み、書く仕事をしている人間が二人して間違えているということになる。
百歩譲って「絶賛連載中」なら多少は理解できるのだが、相当な人気作家であってもそれは「私の連載は大好評で、絶賛されています!」という意味になってしまい、やはり変である。
検索してみると「絶賛執筆中」は57万件も出てきた。もはや「絶賛」は特に意味のない接頭語と化しており、正しい使い方であると認定される日も近いのかもしれない。
ちなみにお題「気になる誤用」は自分で作ってみた。他の方もこのお題をご利用ください。