今週のお題「方言」
私は幼稚園にあがる直前まで、大阪や奈良に住んでいた。それ以降はほぼ関東に住んでいるため、方言というほど独自の方言がないので少々淋しい。だから今でも何となく関西弁には愛着や親しみを感じる。
田辺聖子や司馬遼太郎や小松左京の書く文章に出てくる関西人が、
「ぎょうさん、買うてきましたデ」
「そんな風に都合よう行きますかいナ」
「急いで帰ってきたんですワ」
といった調子で喋る時に、最後の「デ」「ナ」「ワ」がカタカナ表記になっている。
これが何となく好きなので、機会があれば真似してみたいのだが、関東の言葉ではちょっとできないので残念である。
それから、「不思議だなあ」と言う時に「不思議やなあ」というのはあまり羨ましく感じないのだが、「不思議ななあ」という言い方は優しい響きがあっていい。一度目の「な」と二度目の「な」の間に多少の空白があるような感じで「不思議な、なあ」と感心したように言う。桂三枝(今は文枝)の落語を聴いているとたまに出てくる。
文枝は創作落語の人だが、概ねそれ以外の上方の落語家は噺のレパートリーが関東とは異なっているので、新鮮である。関東の落語を聴いても今ひとつピンと来ない、どこが面白いのか分からないという人は、上方落語を聴いてみれば理解が進むのではないかと思う。