オルガンの音色には他の楽器にはない、独特の快感がある。
脳みその表面をローラーで撫でられているような気持ち良さで、しかも耳自体も気持ち良くて、さらにいつの間にか胸の奥の、情の部分にまで忍び込まれて揺さぶられような感覚がある。
オルガン・ジャズの名盤が数々あるうち、最も親しみやすいと思われるのがモー・グリーンズ・プリーズ」である。

- アーティスト: フレディ・ローチ,コンラッド・レスター,ケニー・バレル,エディ・ライト,クラレンス・ジョンストン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2015/06/03
- メディア: CD
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3分程度の曲が10曲、しかも粒揃いのいい曲揃い。
何となく「アンチェインド・メロディ」の印象が強すぎて他を少々忘れていたのだが、メロディの輪郭がくっきりしていて、捨て曲がない。
最後から2曲目が「アンチェインド・メロディ」で、続く最後の曲「Two Different Worlds」がまるでA面1曲目のような華やかさ。最後の最後でスパッと終るところもいい。「もっとキャベツおくれ」「あいよ」といった会話が聞こえてくるようなジャケットがまたいい。
お洒落なジャケットで有名な「クール・ストラッティン」よりジャズ入門盤として向いているのではないか。
かっこいいじゃないですか、楽しいじゃないですか。オルガンの響きの、なんという素晴らしさ。それまで音楽室やテレビ番組で聴いていた音とは、まったく違います。
オルガンのジャズっていいなあ。こんなにいいのに、どうして活字にならないのかなあ。どうしてみんな無視同然なのかなあ。まあ別にいいか。
いま調べたら原田和典氏も同じような印象を述べられている。オルガン好きは何故かみな孤独なのだ。