読書会の難点とその解決方法の例:5.課題図書の選定

 

 

私の読書会の場合、課題図書の選定は、読書会用の貸し出しリストにある古い本から選ぶことになっている。

 

www.lib.pref.saitama.jp

 

選んだ本が他の読書会の希望とバッティングしていなければ、まとめて十冊貸してくれるというシステムである。比較的新しい本のリストもあるのだが、そちらは競争率が高すぎて取れないらしい。

このスタイルはかなり珍しいようで、ツイッターで他の読書会の様子を観察しても、同類が見当たらない。埼玉県に住んでいる人はおそらく同じシステムを利用できそうだが、他県にもあるのかどうかは分からない。

さて通常は、主催者が課題図書を選定するのが当たり前である。

ところが中には「主催者の好みの押し付け」を嫌う人もいるようで、主催者自身もまだ読んでいない本を指定するケースもある。そういう会に参加していたこともあるのだが、私には合わなかった。

そういえば「参加者が一冊ずつおすすめの本を持ち寄る」というスタイルをよく見かけるので、それもやはり「主催者の好みの押し付け」を避けるためなのかもしれない。ただその方法だと読書会というより「紹介会」なんじゃないのという疑問がなくもない。

疑問はあっても否定する訳ではないので、実はちょっとやってみたい気もしている。「課題図書を読む読書会(兼紹介会)」というスタイルなら、うまく行けばむしろ会の幅を広げ、質を高めるのではないか。さりげなく参加者の嗜好をリサーチして、主催者がうまく選書の方向性を調整すればいいのではないだろうか。好みの押し付けは確かによくないし、主催者がすべてをコントロールしようとせずに、ある程度は参加者に委ねる部分もあった方が健全である。

私の会は「日ごろはあまり本を読みません」という参加者が多いので、長くなくて(短めの長編や短編集やアンソロジーや随筆など)、かつ平易な文章で書かれている本を選ぶようにしている。

いま検討中の候補作としては田辺聖子「文車日記」、連城三紀彦「恋文」、半村良「雨やどり」、椎名誠「白い手」、丸谷才一「文章読本」、色川武大「百」、小川洋子「不時着する流星たち」などである。

 

文車日記―私の古典散歩 (新潮文庫)

文車日記―私の古典散歩 (新潮文庫)

 
百 (新潮文庫)

百 (新潮文庫)

 
不時着する流星たち

不時着する流星たち

 

 

それでも選ぶ側の好みが出てしまい、傾向がバラバラになりすぎるのを避けるため、折衷案としてアンケートをとろうかとも考えている。

ぜひ読みたい◎なら5点、まあまあは△で3点、そこそこは空欄とでもしてもらって、参加者全員の点数を集計すれば、揉める可能性はかなり減るだろう(要望通りになっても、「期待と違っていてつまらなかった」という感想を持たれるかもしれないが)。

また、絶対に読みたくない本がある場合はドクロマークでも書いてもらって、それが一票でも入ったらその本はリストから消す、という風にでもすればゲーム性があって楽しめるかもしれない。他の人がいくら好きでも、何点獲得しても、一人の大反対があれば候補作を抹殺できるのである。ある意味、リアルな「デスノート」なので、数ヵ月ごとの恒例にでもすれば会が活性化するのではないだろうか。

今回は最後に「基本読書」というブログの記事を紹介したい。読書会に関する記録や考察がいくつかあって、いずれも面白くて為になる。

 

huyukiitoichi.hatenadiary.jp

 

huyukiitoichi.hatenadiary.jp

 

長編を選ぶ場合と短編集の場合など、それぞれに良い面も悪い面もあるので、これから読書会をやりたいという方には一読をお勧めしたい。

 

 

【まとめ】

比較的やりやすいのは、短編集やアンソロジーです!

選書で迷ったら、参加者による紹介コーナーやアンケートでしのげ!