年収25億円の7歳児

 

 

先日「年収25億円の7歳児」という見出しを目にして、これはつい最近、どこかで似たような話を読んだばかりだという気がしたのだが……。

 

forbesjapan.com

 

ライアンは、こうした短くてシンプルな動画により、ネット上で屈指の人気を誇るインフルエンサーの一人となった。主役のユーチューブチャンネル「Ryan Toysreview(ライアンのおもちゃレビュー)」は累計再生回数が260億回に達しつつある。

ライアンは動画を通じ、際限のないおもちゃで遊べるだけではなく、たゆまぬ収入源を得ている。フォーブスがまとめる「世界で最も稼ぐユーチューバー」ランキングでは今年、6月1日までの1年間で推定2200万ドル(約25億円)を稼いだライアンが首位に輝いた。

 

やっと思い出した!!

それはウィリアム・ギャディスの「JR」という、今月21日刊行予定の小説のあらすじなのであった。

 

JR

JR

 

 

ロングアイランドのとある公立学校に通う少年JR・ヴァンサントは、若干11歳にして金儲けに興味津々、いつも頭の中はビジネスチャンスのことばかり。

ある時JRは、軍需余剰品売買の情報を得て、自身のクラス・6年J組名義で勝手に銀行口座を開設、わずかな資金で要領よく海軍放出のピクニック用フォークを大量に陸軍へ売却し、大儲けに成功した。

また一方で、社会見学の時間にクラスのお金でたった1株を買っただけのケーブル会社の社則違反を見つけ出し、株主として損害賠償を請求、さらなる大金をせしめる。

こうして得た資金を元手に潰れかけの紡績会社を買収し、企業経営に乗り出したJRは、音楽家志望の教師バストを代理人としてこき使いながら、わらしべ長者的に投資規模を拡大。

いくつもの中小企業を雪だるま式に乗っ取り、「JR社ファミリー」なる企業グループを瞬く間に築き上げる。マッチポンプ方式でグループ内の連携を強化し事業を軌道に乗せ、満を持してアメリカ株式市場に参入。

かくしてアメリカンドリームを体現するがごとく成功の道を突き進むかに見えたJR社ファミリーだったが、間もなくJR自身の手に負えなくなり、市場を貪欲に飲み尽くす巨大コングロマリットと化し大暴走、数多の企業や人々を巻き込み、世界経済に大波乱を巻き起こす――!

 

あらすじだけで既に面白いので、印象に残っていたのであった。「世界文学史上の超弩級最高傑作」「爆笑必至の金融ブラックコメディ」「第27回全米図書賞受賞作とあるので、きっと一月の新聞の書評欄を賑わせるのではないだろうか。ライアン君も将来はJRのような少年に成長して、世を騒がせてほしい。