「ジョン・ウィック」

 

 

この種のアクション映画の場合、「殺っちまえ!!皆殺しでOK!!」と観客に思わせることができるかどうかが重要である。

しかし昨今は何かにつけて「そうは言っても悪人にだって理由がある」とか「幼い日のトラウマが原因で犯罪に手を染め……」とか「貧困が……」「政治が……」「内戦が……」「差別が……」「格差社会が……」もごもご……。とあれこれあって、なかなか完全な悪人を出しにくい。

 

 

この映画の場合は、69年型マスタングという、素人には価値がわからないが凄そうな車を強盗が奪ってしまうという悪さで攻めてくる。

 

「おいその車いいな」

「それは有難う」

「おっさん、その車、幾らで売ってくれる?」

「これは値段をつけられないよ、それじゃ」

 

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なんてやり取りがあったその夜に、いきなり強盗である。

しかも主人公の亡き妻の忘れ形見である愛犬まで殺してしまう。「ついでに」という感覚で殺してしまうところがムカつきポイントで、もと殺し屋の主人公の怒りに火がつくという段取りである。

 

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犬を飼っている私にとって心情的にはかなり同調できるはずなのだが、何というかちょっと安直な感じがして、やや冷めてしまった。

しかし主人公の方はもう完全に「殺る!!邪魔する奴は皆殺しでOK!!」モードに入ってしまって、足を洗った組織にまた戻って、殺って殺って殺りまくるという筋である。

伝説的な殺し屋のプロフェッショナルな感じが殺し方にも出ていて、ワラワラ、という勢いでダークスーツのザコ兵が群れをなして出てくると、いつも胸に一発、その後で頭を撃っている。

「あいつは本物のプロだぜ……、いつも胸の後で頭を射抜くんだ」

なんて台詞が出てくる訳ではないが、

「パン(まず胸に一発)、パン(頭にとどめの一発)!」

というリズムが当たり前になっている。

A、B、Cと3人のザコが目の前に現れた時は、

「パン(Aの胸に一発、すかさず腕をとって関節技を決める)!」

とまず撃った後で振り向いて、

「パン!パン(Bの胸に一発、頭に一発)!パン!パン(Cの胸に一発、頭に一発)!!」

と片付けて最後に、

「パン(Aの頭に一発)!」

と終わらせる。だいたい三秒くらいで三人を片付けてしまうので、強すぎてハラハラできない。たまには「いくら何でも、これは助からないだろう」と思いたいのだが、最後までメチャクチャ強い。捕えられても余裕で脱出してしまうので、ちょっとスマートすぎるという印象であった。