魔獣じみている姿の不良

最近、Kindleの無料漫画を読む機会が増えて、五~二十年くらい前のヒット作をずいぶん読んだ。

読んでいると、自分が十代の頃に読んだ漫画との違いをあれこれ感じる。とりわけ「GANTZ」や「僕たちがやりました」の不良高校生は、やることなすこと恐ろしすぎて、昔のヤンキー系不良漫画とは桁違いの迫力である。もはや高校レベルのワルではなく、魔界からやってきた魔獣か、というレベルの容貌で悪事を働く。

 

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僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)

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しかも、簡単に死んでしまう。「ハン・ソロ」ほかSWシリーズの死者は、死と引き換えに、観客に「感動」を届けるという役割を一応は担わされている(人によっては届かないけど)のがせめてもの救いだが、上記の漫画で不良が死ぬときは単なる物語を進める過程でのアクセント、賑やかし、添え物、「塩こしょうで下味をつけます」の下味、という扱いでしかない。

読んでいる側もいつの間にか「ま、不良だから殺されても仕方がないか」と感じるようになる。容姿や頭脳や特技について、何らかの特別な情報が与えられていないキャラクターは「死んでも仕方がない」とついつい考えがちである。そう考える読者に罪悪感を持たせないためには、どうしても魔獣のような外観が必要なのかもしれない。