「回転」

 

 

「ねじの回転」を原作とした「回転(原題はThe innocence)」を観た。

 

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回転 [DVD]

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昔のホラーなので、今となっては定型化してしまった表現がけっこう多い。急に吹く風、急に開く窓やドア、子供と小動物の関係性、蝋燭の光が作る影、広い屋敷内に突然あらわれる幽霊など。怖いというより「お約束」をなぞっているように見える。

 

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また、しばらく前に観た「バニー・レークは行方不明」と表裏の関係にあるようにも感じた。

「回転」の方は主人公の主観的には幽霊が見えていて「確かにいるのよ!」と主張するのだが、周囲はそれを認めない。

「バニー・レーク」では、娘の不在が重大事なので「いるはずなのに、いない!」と主人公が主張するが、周囲は「そもそもその娘はいたのかどうか?」と疑っているし、映画を観ている観客にとっても、最初から一度も画面に現れていない娘なので「その辺のところは一体どうなんだ?妄想か?」とやはり疑ってしまい、はっきりしないのである。

つまり「いる!」主張が認めてもらえないのが「回転」で、「いない!」主張を認めてもらえないのが「バニー・レイク」なのだと要約すると、一応は正しいし、いずれも金髪の女優が子供をめぐって孤軍奮闘する点は共通するのだが、ちょっとここには書けないような結末がまた対照的になっている。「回転」は1961年、「バニー・レイク」は1965年の作品なので、これから観たいという人は「回転」を先に観るべきかもしれない。