三回目か四回目にはなる「人情紙風船」をまた観たら、またもやジワーン、グワーンといった残響が体に留まり続けている。
以前に観た時も、最初に観た時もそうだった。なぜか後を引く作品である。
この映画は時代物というより、別の何かのように思える。
純文学の好きな人は「これは純文学だ」と言いそうだし、ミステリ的な要素もある(まるでポオのような盲点トリック)。
落語のダークな部分を煮詰めたような暗さもある。ユーモアもある。
それらを総合してジャンルを考えるとノワールではないだろうか。自分としてはそれが一番ピッタリくる。
ウィキペディアにあるノワール映画の説明は次の通り。
「人間の悪意や差別、暴力などを描き出している。闇社会を題材にとった、あるいは犯罪者の視点から書かれたものが多い。」