伊丹十三は何かのエッセーで「猫に名前をつけるのは難しい」と書いていたが、「母親の誕生日のプレゼントを選ぶ」のも相当な難題である。
しかも母の日が5月で、間を置かずに誕生日が6月なので毎年やりにくい。
こういう時にネットで検索すると、おぞましい商品がゾロゾロ出てくる。
名前入りのマグカップとか、お母様のお名前を読み込んだポエムとか、イニシャル入り高級ブランド腕時計とか、一体どこのお母様がお喜びになられるのか。
以前あげて良かったと思ったのは、ほどほどに大きいシンプルな眼鏡ケースで、眼鏡屋を何軒か廻って「ほどほどに大きいシンプルな眼鏡ケースはないかな」と探していたら、本当にぴったりイメージ通りの物が見つかったのであった。
しかしその時に良かったからといって、また翌年も翌々年も眼鏡ケースという訳にはいかない。
今年これは良さそうだなと思ったのは、熊がアーモンドを抱っこしているようなクッキーの型を取れる器具である。
しかも最近は、気を利かせた【抱っこがしやすい長い腕】版まで出ている。
安くてちょっと話題になって、長く使える。これは良い。
もう一つ候補に挙がっているのは、天然石が入った健康サンダルである。
「これは宝石が埋め込まれた特別な健康サンダルなので、片足だけでも時価数千万円くらいはする」
と嘘を言って渡したいからというのが選定理由である。
まだあと半月ほど時間があるので、もう少し考えてみたい。