三時間近くもある作品なので敬遠していたが、実際に観てみると昔からある型の筋書きの組み合わせだし、後半は絶え間なくイベントが起き続けるのでほとんど時間を感じなかった。
久々に「普通の文学は人間を描くが、SFは人類を描く」といったフレーズを思い出した。個の人間レベルとしての欲望と、種の人類レベルの義務感の間で板ばさみになったりする姿を見ると古いSFマインドが猛烈にくすぐられて、ささやかな切っ掛けで発火して燃え盛るのであった。
監督自身も「2001年 宇宙の旅」を意識したと言うだけあって、どうしてもアレと比較する立場に立って感想を書いている人が多いようだが、自分は途中で何度も「漂流教室」を想起した。
細かく書くとネタバレになってしまうので書けないが、大筋でも細部でも色々と似たイメージがある。
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ただ本作は父と娘の関係が主眼であるのに対して、「漂流教室」は母と息子の関係である。
それでも「わかりにくそうな映画だから」と尻込みしている人には、あえて予習として「漂流教室」をお勧めしたい。
「漂流教室」も長いから嫌だなあ、という人は、もうクラークつながりで短編「太陽系最後の日」を読めばいい。
これなら三十ページくらいで済むし、何となくネタバレにならない程度に薄ボンヤリとした予習にはなる。
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それも面倒臭いという人は、思い切ってこの映画のほとんどは夢なのだと考えることをお勧めする。
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というのは、冒頭に墜落する場面があるので、そこで気絶して二時間数十分後にベッドで、
「ハッ!」
と目を覚ますまでが夢なのだと解釈すると分かりやすい。
後半は10分置きに様々な事件が起こるので、夢落ちにするしかないほど盛り沢山な夢である。
それでも観終わって暫くすると、結局何が何だか分からなくなってしまった、という人には以下の「Interstellar Timeline」を、登場人物ごとに指でなぞってみることをお勧めする。
「ここで◎◎年が経過!」という長さを実感できるので、胸が熱くなる。
http://www.frame-tale.com/work/interstellar.html
それから「この娘が大人になるとこうなる!」という流れが「コールドケース」風で、この辺も胸が熱くなった。
今週のお題「私がアツくなる瞬間」
追記:この映画に関するノーマルで過不足の無い批評を求める向きには、浅田彰のものをお勧めする。
http://realkyoto.jp/blog/interstellar_christopher-nolan/
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