この映画は、音楽学校の鬼教師が主人公の学生ジャズドラマーをビシビシ厳しく鍛えるという話で、期待して観たら期待以上だった。
物凄く大雑把に書くと、教師と生徒が対立して和解して、また対立して和解して、という繰り返しである。
ただ最終的には教師が勝ったのか、それとも生徒が勝ったのか、二人ともどこかの暗黒面に落ちてしまったのか、二人で栄光をつかんだのか、一概に言えないような結末で、余韻を残しつつもスパッと終る点がいい。
それに映画の終盤になって「ええええええええええええ!!」とビックリできたのは久しぶりであった。
「ここからどうするんだよ!」と、少々パニック状態になって、ただただ全身を目にして画面を観るしかない、という瞬間こそが映画のクライマックスというものであって、「多分こっちが勝つだろうな」と思える側が勝つのでは、演じる側も観る側もベルトコンベアーに乗っているようなものだ。
この映画は「大体、こういう所に着地するだろうな」という、そこそこ穏当な終わり方にもできた筈の筋なのである。ライムスター宇多丸氏は、主人公の彼女が最後の演奏会場に「実は来ていた」という甘い展開でも、それはそれで良かったではないかと言っていたが、私もその展開は大いにアリだと思う。というのは最初のデートに誘った時に一回、フェイントをかけているので、その場面がいわば復活して「あれは絶妙の伏線だった」ということに確実にできるからである(そうしなかった所が偉い)。
とにかく主人公の絶体絶命度が高く、鬼の指導者とその生徒という関係からして「トレーニング デイ」を思わせる。この作品もやはり終盤でまさかの展開があり「ええええええええええ!!」となって「もう完全に駄目だ!」と久々に心底からハラハラできた。
「モテキ」も珍しく終盤で「えええええええええええ!!」となったことはよく覚えているのだが、最終的にどうなったのかは覚えていない。
ところで本作の 鬼教師は、どこかで見たことがあると思っていたら、
それは昔の「火星人ゴーホーム」の表紙の火星人なのであった。
今はこう↑なっている。
また、作中に何度も出てきたバディ・リッチはこの人↓である。