「Swallow/スワロウ」

 

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「Swallow/スワロウ」は異物を飲んでしまう妊婦が主人公である。私は勝手に「飲んだ異物は出てこない」という展開を予測していて、そこはシュールに、曖昧なまま、幻想っぽく処理するのではと思っていた。

しかし、その予想は中盤に至る前から次々と覆され、虚言ではないかと思っていたある人物との関係もきちんと描かれるのだった。

 


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終ってみるとまた印象が少し変わって、空虚さを描いた映画をいくつか思い出した。ソフィア・コッポラや「ジョーカー」、「ファイト・クラブ」、かつて流行したサイコ・サスペンスなど。

映画に登場する「空虚さ」は、実際には何もないのではなくて、忌まわしい記憶や生い立ちやストレスのガスがモヤモヤとたまり、あるきっかけで憤激になって爆発する。爆発しないケースもあるのだが、それだと観客は確実にそれを「退屈だ」「つまらない」と感じる。

この映画は画面で起きていることは普通なのに、いくつも異常事態が発生している。画面が美しければ美しいほど、精神や関係の弱さ、もろさがはっきりしてしまう。そのあたりは文章で説明できそうな点が少し物足りなかった。

 

 

とても説明しきれないと思ったのは主演女優の表情の多彩さで、その外見は平凡そのものでもあり、異常者でもあり、頼りなくもあり、同時にかわいらしく、美しく、子供のようでもあり、たまには男の子のようでもあり、逃亡者でもあり、初々しい新妻でもあり、告発者でもあり、娘でもあるというように、様々な表情を見せる。