前回の 「壮烈新選組 幕末の動乱」はいかにも娯楽大作のカラー映画で、恋も見せ場もユーモアもチャンバラもあり、という大人のお子様ランチのような華やかさがあった。
しかし、「新選組鬼隊長」は同じように近藤勇=片岡千恵蔵であるものの、池田屋事件がスタートで、後は新選組が負ける一方となる。
子母沢寛の傑作「新選組始末記」を原作に、明治維新の時流に抗し、徳川家とともに亡びていった武士道最後の人ともいうべき近藤勇の半生と、勇率いる新選組の剣と涙に彩られた波乱激動の運命を、河野寿一監督が壮大なスケールで描ききった時代劇巨編。
元治元年六月、祇園祭宵宮の夜、新選組が三條小橋池田屋を襲撃。新選組隊長・近藤勇は、その功によって将軍・徳川慶喜より感謝の言葉を授かる。
時に、勤皇佐幕の暗闘騒然たる幕末。この池田屋事件を契機とする絶頂期から、西本願寺を拠点に新参謀として伊東甲子太郎を迎えての転機、伏見鳥羽の戦に敗れて幕軍敗戦、武州流山に長恨の終焉を告げる新選組。
一途の士道を譲り士道に殉じた熱血漢・近藤勇を中心に、土方歳三や永倉新八、胸を患う沖田総司ら、だんだら染に忠誠を誓った隊士たちの戦いの歴史が、彼らを支えてきた友情や恋とともに鮮やかに刻まれていく。
剣豪・近藤勇に片岡千恵蔵、沖田総司に中村錦之助、将軍・徳川慶喜に東千代之助、伊東甲子太郎に月形龍之介が扮してオールスター総出演。超豪華配役陣のもと、新選組隊旗の「誠」の文字の如く、烈々とした闘志を以って完成した超大作。
鳥羽・伏見の戦いで「砲弾は刀では斬れぬ」などと当たり前のことを言って、せっかく故郷の村から若者たちが志願してやってきても時すでに遅し、ひたすら敗走に次ぐ敗走となってしまう。
映画としても山場がなく、しかもパッケージはカラーだが白黒映画である。同じ白黒映画なら「竜馬暗殺」のセンスの良さ、軽妙さと比較にならない。