「幕末残酷物語」

 

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「幕末残酷物語」は白黒で、新選組の華やかさや正義漢っぽさはゼロである。ひたすら内部の規律が厳しく、入隊試験も血まみれ、やることなすこと残酷、そして裏切り者や離脱者は斬る。

という、いわば新選組の暗黒面を描いた作品だが、私としてはメチャクチャ好みに合っていた。

まず池田屋の大量殺戮があって、そこから話が始まる。この後はあまり新選組の歴史としては良いエピソードが乏しい筈なので、エンタメとしては期待しづらい。

 

 

ところがダークサイドを描くなら、むしろここからが見どころだ、という勢いでもって、ほぼ先のない集団に主人公が何とか入って(この入隊の仕方も意外といえば意外だし、後から考えるとまた意味深長)、その後はそこそこ内部で評価されることはされるのだが、モラル的には下降していくという妙な感じになってゆく。

「ちょっとおかしいのでは」と指摘したくなる頃に藤純子が悲しんだり怒ったりする。しかしその頃にはもう主人公は色々と手遅れになっていて、しかもそこからまた大きく話が転回する。

 

 

歴史に名を馳せたあの“新選組"は、殺戮の集団だった──! 史上最強の剣戟集団といわれた新選組の内幕を、加藤泰監督が鋭く抉り、リアルに描写した衝撃作。

新選組の高名に憧れたひ弱な田舎侍・江波三郎が、一番隊長・沖田総司に頼み込んで入った新選組は、想像以上に過酷なものだった。入隊の決まったその日、江波ら新入隊士の目前で、池田屋襲撃の日の不手際を問われた隊士が処刑。

広大な壬生屯所での生活も、生傷の絶えない悲惨な状態が続き、江波の唯一の慰めは奉公女中・さとの優しい言葉だけだった。

そんな彼も、新選組隊士として日毎に成長していき、近藤勇の命で脱隊しようとする隊士を斬ることも厭わなくなっていく。

 

 

パッケージや解説、あらすじのたぐいで肝心な点をバラしてしまっているので、これから観ようという人はもう予備知識を入れない方がいい。これまでに観た新選組関連の映画の中では最も面白い部類に入る。

 


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他に良かった点は、狭い部屋で一番隊の面々がああだのこうだの言い合う場面である。子供の頃のサッカーの合宿や、中学の頃の部室のようで懐かしく感じられた。見方によっては学生運動のような雰囲気もあるので、1964年の空気も感じられる。

不入りだったそうだが、第15回ブルーリボン賞では脚本賞(国弘威雄)とのこと。おめでとうございます!