書くことなし日記:はんなり編

 は:はんなり:はんなりしている女性ブロガーにハズレなし、と思ったらこの人は男だったのか……。という経験が二、三回ある。

 

 と先月の記事で書いたが、実は二、三回どころかその数倍はある。

 つい最近もどこかのブログで、

「坊主頭にしました」

という文を読んで、それまでずっと女性だと思い込んでいた書き手が男だったことに勝手に驚愕したばかりだ。

もっと遡ると、十五年ほど前にネットで知り合った人と初めて集まったオフ会(メンツが6人くらい)でも、前々から親しかった、気心の知れている、ツーカーの関係だと思っていたSさんが「実は女性だった!」ということに大声をあげるほど驚かされたことがある。

私のイメージの中のSさんは「気のいい兄ちゃん」で「六十~七十年代のロック好き」で「アホ」で「ノリがいい」「気さく」「コンスタントに面白い」「おそらく長髪」「たぶん煙草吸ってて革ジャン着てる人」であったのだが、実際は色白で小柄で、それこそ「はんなり」していて声の小さい控え目な人だった。

その時、もっと驚いたのは自分以外のメンツは皆「前々からSさんは女性だと思ってたよ」と事もなげに言うことで、他の人は落ちない落とし穴に自分だけが勝手に嵌まり込んでいるような心境になった。

では、自分以外のメンツがいつ、どうして「Sさん=女性」と判断したのか、その理由を訊いてみると、ある人が言うには普通「太った人」「太り気味の人」「デブ」と書くべきところで「おでぶちゃん」と書いていたのを見た時に確信したのだそうで、これは納得のいく理屈であった。

しかし自分がなぜ「Sさん=男性」と勝手に判断していたのか、という点は今でもよく分からない。その時その時で原因は異なるものの、何となく私は、

「ポエムめいた文を書く人」

京極夏彦のファン」

「体言止めを多用する人」

「車の免許を持っていない人」

「半身浴をする人」

などを即座に「女性」と判断する傾向があるらしいという気はする。

逆に、相手が女性だとばかり思っていて、本人も女性だと言っていて、実はその人が男性だったことが判明したという経験もあるし、私自身がまったくの別人と勘違いされてひどく迷惑したこともある(いずれも既に十年以上も前の話)。

最近は、アイコンのイメージ画像があるのでそこそこ間違い率が減ってはいるのだが、それでも半年に一回くらいは勘違いするので、個人的に「悩み」と「ハプニング」の中間くらいの何とも言いようのない領域の出来事である(「自己サプライズ」とでも命名しておこう)。