今から十年前の2004年に出版された「日本のスイッチ」という本がある。
これは毎日新聞で連載されていた「日本のスイッチ」をまとめたもので、企画の概要がアマゾンの商品説明欄にあるので引用する。
携帯電話と新聞を結んだ調査企画。月~水まで携帯電話のサイトで質問を出し、翌週月曜日に結果発表を新聞紙上と携帯サイトで行う。政治、経済から世相、風俗まで毎回8個の質問が出される。社会的価値を持った新しい携帯コンテンツを目指して、慶応大学の佐藤雅彦研究室と毎日新聞社の共同企画として2002年10月にスタートした。
毎週8つの質問を新聞誌上で出して、読者が携帯を通じて二択の答のいずれかを送信する。これを集計することによって現代の日本の姿を浮かび上がらせようというのが「日本のスイッチ」の企画意図である。
結果は質問によっては9割対1割になることもあったし、ほぼ半々になることもあった。
本には質問も回答結果(割合)も両方載っているのだが、この本が出た当初から私は「ほぼ半々」になるような質問に興味を感じていた。
例えば「ほぼ半々」になるような質問だけを集めれば、テレビでもラジオでも面白い討論番組ができるのではないか。あるいはディベートの練習になるのではないか。
しかし自分以外の誰もそんなことは考えなかったらしく、番組やディベートどころかこの本は今でも文庫にすらなっていないという冷遇ぶりで、中古価格が1円である。
そこでこのブログでは「日本のスイッチ」発売十年を勝手に記念して「ほぼ半々」の結果になった質問のみを十年ぶりにもう一度よく考えて、自分なりに決着をつけてみよう、という試みを行ってみたい。
前々から「ブライズヘッド再訪」という小説のタイトルが好きだったので、いつか「再訪」つきのをタイトルを使ってみたいと密かに思っていたこともこの企画を始める理由のひとつである。
さらにこの企画は、
「一冊の本を非常識なほど長い時間をかけて味わう実験」
でもあるので、一杯のコップ酒をチビチビ舐めるように時間をかけて飲むようなシリーズにしたいという野心もある。
さて第一回目で考えてみたい質問は、
「2時間スペシャル、見るとしたらどっちの番組?」
である。
結果は、
ラーメン特集 50%
健康特集 50%
と見事なまでに半々になっている。
実際問題として、テレビ欄に「ラーメン特集」と「健康特集」が並んでいた場合、多くの人間は題材よりも出演者で選ぶはずである。
私だってそうだ。
ラーメン特集の方に、
「とんねるずとダウンタウンが共演!浜ちゃんがタカさんに◎×△!?」
なんて書いてあったら、間違いなくそちらを選ぶ。この場合は視聴率25%は堅いのではないか。
しかしこの質問の意図としてはそうではなくて、純粋に、
「ラーメンと健康とでは、どちらに興味がありますか?」
と訊きたいのであろう。
題材だけなら今の自分は明らかに健康派だが、これは年齢層によって答の傾向が明らかに異なるような気がしてきた。
つまり、年寄りであればあるほど健康に傾きがちで、ラーメンになど興味が湧かない。一方、若ければ若いほどラーメンに傾いて、健康になど興味が湧かない。
大まかに分けると、10,20,30代はラーメン寄りで、50,60,70代は健康寄り。中間の40代は半々といったところではないか。
何だか平凡な結論だが、人口バランスが後ろ寄りになったので、もし同じ内容の質問をしたら30:70くらいで健康派が多数になるのではないだろうか。