「ゴーン・ガール」はネタバレにならないように感想を書くのが難しい。
しかしなるべく大雑把に言うと、
1.サスペンス性があって、
2.捻りがあって、
3.ストレートな美女が出てくる
こういう映画が好きなので、そういう嗜好を持った人にはお勧めである。
これで今回の記事はお終い、とするには字数が少なすぎて悪い気がするので、もう少し詳しく1~3について「ゴーン・ガール」に寄せつつ書いてみよう。
1.サスペンス性
サスペンス性という言葉はこれまでにも映画の感想を書くたびに使ってきたが、あまり深く考えて書いている訳ではない。
単にハラハラしたりドキドキしたりする映画がいいなあという程度の話である。
ただ良質のサスペンスと悪質なサスペンスというものはハッキリ分かれていて、悪質な手口としては、
「急に大きな音を出す!」
「急にグロテスクな映像を出す!」
「急にそれまでに語られていなかった事実を出す!」
などが挙げられる。
「ゴーン・ガール」はそういう要素が皆無とまでは言わないが、こけおどしが少ない点がよい。緊張感がずっと漂い、緩急のつけ方も見事なので時間が気にならなかった。
2.捻り
サスペンスを持続するには、捻りは重要な武器である。まず序盤に多少の捻りがないと引き込まれない。
「ゴーン・ガール」の場合は序盤、中盤、終盤と分けて考えると序盤は捻りが少ない。それでも過去と現在を行ったり来たりしながら状況説明をテキパキやっているだけで上手く引き込まれるので、まあ良しといったところ。
中盤、といってもどこからどこまでが中盤だとは説明できないが、中盤以降は予想外の細かい捻りが多い。映画の感想で時々「展開の予想がついた」と書いている人がいるが、どの辺りからどの辺りまでなのだろうか。
特にこの映画は序盤を見て、中盤を飛ばして終盤を言い当てることのできる人はまずいないと思う。
3.ストレートな美女
エミリー役のロザムンド・パイクが正統派の優等生チックな妻として出てくる。この人はいかにも金髪美女の典型といった風情で、グレース・ケリーや二コール・キッドマンを思わせる。
話が進むに連れてこの人が前に前に出てくるので、夫は引いたポジションにならざるを得ないほどである。この人の演技を観るだけでも一見の価値がある。
ちなみに経歴が……。
ロンドンにて生まれる。父親はオペラ歌手、母親はヴァイオリニスト。オックスフォード大学で英文学を学び、優秀な成績で卒業している。両親の仕事の都合で7歳までヨーロッパ各地で育ったためフランス語とドイツ語を流暢に話し、ピアノとチェロもたしなむという。
2007年には『プライドと偏見』の監督であるジョー・ライトと婚約したが、2008年5月に行う予定だった結婚式を土壇場でキャンセルした。
ほとんど少女マンガの登場人物のようである。
やはり何となく本筋に触れないと歯切れが悪くなってしまう。だが仕方がない。
総評としては、何か面白い映画を観た後で、
「善と悪の戦いよりも、悪と悪の戦いの方がずっと面白い」
とよく感じるのだが、この映画もその線に沿っているとだけ言っておきたい。
とにかくサスペンス性の高い映画、かつ終盤で変な誤魔化し方をせずに着地できる映画は好きなので、評価としては☆4つ半くらい。