「黒みつ」はスーパーの売り場のどこにあるか。
これは簡単そうで難しい問題なのであった。
先日、ドラッグストアで薬を買ったついでに探した時には、どこにも置いていなかった。そこで、スーパーに行けば必ず売っているだろうと考えて、少し先のスーパーまで行ってみた。
最初はケーキの粉や型を売っていて、メープルシロップやチョコレートソースが売っている所を見た。
すると「抹茶黒みつ」があるではないか。
だが、ノーマルな「黒みつ」がない。
不思議に思って今度は砂糖売り場に行ってみると、こちらにもない。
この二箇所以外に「黒みつ」を売っている場所はスーパーにはないとしか思えないのだが、たまたま棚を整理していた店員の方に訊いてみると、
「こっちですよ!」
と言いながら違う方向に走り始めた。
私は内心では、おそらく先ほど自分が見たケーキ関連の売り場にまた戻るのではないかと考えていた。
「そこはもう見ましたよ、でも抹茶黒みつしか置いてないでしょう」
と言う心積もりでいたのだが、それとも違う方向なのでやや焦った。
結局、たどり着いた先は何と「ジャム売り場」なのであった。
ジャムの瓶がたくさん並んでいる横に、ノーマルな「黒みつ」が鎮座しているのであった。
まさか「黒みつ」の生息地がジャム売り場であったとは!!
いかにも怪しい第一容疑者(洋菓子売り場)、ほぼ犯人確定と思っていた第二容疑者(砂糖売り場)ではなく、まったく念頭になかった盲点の第三容疑者(ジャムコーナー)が真犯人だったのだ。
それにしても第一容疑者が「抹茶黒みつ」を売っていた点など、真犯人をかばうための偽装工作か、別人によるアリバイトリックのような手の込みようで、ちょっとしたミステリの短篇のような出来事であった。