「ボッカチオ’70」

 

 

4つの短編からなるオムニバス映画である。となると、「一つのエピソードが30分くらいなんじゃないの?」と思うのがまあ普通の感覚ではないだろうか。

しかし本作は全体で204分でDVD二枚組という、ちょっと日本では考えられないような長尺の映画なのであった。

 

ボッカチオ’70 HDマスター版<全長版> [DVD]

ボッカチオ’70 HDマスター版<全長版> [DVD]

 

 

イタリア映画界の巨匠が4人の名女優を主演に迎えて描いた艶笑オムニバス。マリオ・モニチェッリ監督作『レンツォとルチアーナ』、フェデリコ・フェリーニ監督作『アントニオ博士の誘惑』、ルキノ・ヴィスコンティ監督作『仕事中』ほか、全4話を収録。

 

しんどいのでフェリーニの第二幕だけ観た(これだけでも1時間ほど)。アントニオ博士が街じゅうに溢れかえる猥褻な物や人に猛然と抗議する話である。

ところが博士の大奮闘とは裏腹に「ウッフ~ン」という姿の美女がデカデカと描かれた看板が自宅前に立ってしまう。

この美女が巨大な絵姿のまま実体化して、博士と会話したりするのだが、ここの部分がまるで昔の「ウルトラマン」そのもののような色と構図なのである。文字通りの上から目線で博士を見おろす構図など、あまりにも懐かしいので内容がどうでもよくなってきた。

よくフェリーニは大女が好きだといわれるが、そういう意味でもフェリーニのエッセンスが詰まった一作といえるかもしれない。ナレーションが幼女で、そのあたりも独特の味わいがある。


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