10選に入りきらなかった映画についてメモしておきたい。
しかしどうしても、ホラー、アクション、スパイもの、ゾンビものが混ざってしまう。
ゾンビ映画の歴史を考えても、最初はB級ホラーだったものが認められてきて、今はA級アクション大作映画みたいな流れがある。そうなると次第に家族愛、恋愛要素まで多めに盛られてゆく。
映画におけるサスペンス・スリラー要素は、様々な要素がてんこ盛りの大作映画の中ではちょっと味わいが薄れてしまうので、その種の映画はなるべく省いた。
それから、入れ替わりによって生じるスリルを描いた作品もある。人間AさんとBさんの精神が入れ替わる。これは「母と娘」とか「刑事と悪人」とかカップルとか、組み合わせがいろいろある。
「フェイス/オフ」はこの手の作品の中では大傑作だが、基本はアクション映画なので「サスペンス」「スリラー」とは思われていないかもしれない。さらに「自分であることを証明する」というサスペンスまであるのでいい。子供の頃に読んだ、ムーミンが変な怪物にされるエピソードを思い出す。
10選に入りきらなかったリスト
↓
恐怖の報酬
ディナーラッシュ
イースタン・プロミス
パンズ・ラビリンス
インサイド・マン
トゥモロー・ワールド
ゴーン・ガール
ヘッドハンター
サスペクト
スリー・ビルボード
アルゴ
ナイロビの蜂
狩人の夜
たたり
情婦
回転
イングロリアス・バスターズ
フェイス/オフ
仁義なき戦い 広島死闘編
他にはコメディ寄りながら「デーブ」はそっくりさんが大統領と入れ替わる話で、良質のスリルがあった。
この系統では「ジャック・サマースビー」というジョディ・フォスターとリチャード・ギアの素晴らしい作品もあってお勧めしたい。
上記の作品のうち「デーブ」「フェイス/オフ」「ジャック・サマースビー」は甲乙つけがたい。映画としての質と、面白さと、スリルとサスペンス性とがうまく絡み合っている。入れ替わり物はSF的な説明がなくても、単に「そっくりな人がいる」だけでも成立する。
ヒッチコック映画は「裏窓」「サイコ」「めまい」「北北西に~」は当然として「バルカン超特急」「逃走迷路」「海外特派員」「ダイヤルMを廻せ!」などが好き。
特に「バルカン超特急」の、ついさっきまでいた人がいない!というあの場面は、思い出すだけでゾクゾクする(逆に「鳥」はどういう訳か昔からピンと来ない)。
映画でなくドラマ「ER」は「急患がどんどん来る」という前提なので、いつもスリルとサスペンスがあっていい。これは人間を描くドラマと、状況設定とがうまく噛み合っているからこそ。
という訳で10選の他では「デーブ」「フェイス/オフ」「ジャック・サマースビー」、ヒッチコックでは「バルカン超特急」「逃走迷路」「海外特派員」「ダイヤルMを廻せ!」、ついでに番外編としてドラマ「ER」の第7シーズンくらいまでを勧めたい。