俳句の本を読む:「ハンディ版 入門歳時記」

俳句関係の本として「歳時記」は外せないが、さすがに複数冊を読んで比較は出来ない。来月から一日一句のペースで俳句を作ることにしたので、必要に迫られて一冊だけ購入してみた。

 

ハンディ版 入門歳時記

ハンディ版 入門歳時記

 

 

本書は通常の歳時記というよりは、全体に辞書のような製本になっている。

つまり箱入りで、透明なビニールのカバーがかかっていて、表紙や裏表紙は厚いビニールで、背は角ばっておらず丸い。中の紙質も辞書そのもので、文字の大きさも辞書のイメージに近いものである。ただし厚さは1.8センチなので辞書よりずっと薄い。

内容は季語と、その解説と例句が十作ほどあって、代表的な名句には解説が付されている。

 

思うに自分はこういうバラバラな、雑多な本やジャンルというものに惹かれ続けている。

中学高校の頃はSFが好きで、SFは文学や社会学や未来学、言語、宗教、文化人類学、それにもちろん科学とも近いジャンルで、映画や漫画や落語やお笑いとも近かった。かなりのバラバラ具合である。

今は保険の仕事に携わっているが、これも自動車、火災、地震、医療、税、相続、訴訟、などなどといった諸ジャンルを内包して、他に営業だのドローンだの、食中毒だの確率だの、さらに中小企業や飲食店経営などにも関係している。これもかなりのバラバラ具合である。

歳時記はそれらのバラバラ度に比較すると、かなり上品で落ち着きがある。動植物、行事、気象などに関する言葉を四季プラス新年に分けただけだが、それでも次のページに何が書いてあるか分からない程度のバラバラ度ではあるので、読んでいて飽きない。

 

昔、フランス語には男性名詞と女性名詞があると知ってかなり驚いたものだが、フランス人に歳時記を見せて、

「日本語の名詞の中には季語があって、それぞれが四季のいずれかに属するように分類されているんだぜ!」

と説明したら喜んでもらえるのではないだろうか。