今月分の創作過程や意図などを書く。
自作の解説などをするのは恥ずかしいという考えもあるようだが、私の場合は自分で後から読んで意味がわからなくなることを避けるために書いている。
今回は5回目の参加である。
先月までは言葉をいじくり回し過ぎたように思ったので、なるべく今月はスピーディに、軽く作るという方針で考えた。
お題だけをメモして、「海街diary」を観る直前に車や映画館の座席で作ったのであった。
1.手帳
本物のスパイは「ひみつ手帳」を持たないと先生あなたはか弱き大人
尾崎豊の曲はあまり聴かないが「先生あなたはか弱き大人の代弁者なのか」というフレーズだけが頭に残っていて、その流用。子供はフィクションがフィクションであることや、「お約束」「やらせ」の微妙な匙加減に早くから気づいているものである。それをわざわざ言うような、そういう先生の姿。
2.花火
花火部は火を消しゴミを分別し金曜に出し終えるまでが花火です
「花火部」という部活動があった場合、そのルールや指導はどうなるかと考えた。
「遠足はうちへ帰るまでが遠足です」のもじり。
3.虫
償いのため甲虫は無言の刑 四億年を祈り続ける
鳴く虫とそうでない、いわば無言の虫がいるので、それが罪の償いであったら一体、どのような罪であろうか、という風に匂わせたかった。
4.白
白い夢ただひたすらに白い夢 黒いペンキのタンクに溺れ
白いもの尽くしで考えたが、黒いペンキのタンクに溺れた人が真っ白な夢を見ているという、ひと駒漫画のような感じ。
5.アイス
瞬けという命令形を使わないからこの夏こそは瞬けアイス
学生短歌や、こういう青春っぽい感じの口調の短歌をよく見かけるので、そういう作風のコピーのようなもの。「こういうのって人気あるよな~」といつも思う。
6.プール
プールにて身代金を奪取せり飛び込み台からヘリの梯子へ
「あばよ~、とっつぁ~ん」と言ってルパンが去る感じ。
7.すず
広瀬すず逆から読むとみうこせろひ間違えちゃった別の誰かと
このお題が出る少し前に、広瀬すずの失言問題が騒がれていたので、お題を見た瞬間「意地でも広瀬すずには触れたくない!」と思った。しかし二秒後に「あえて火中の栗を拾う!」というのもアリかな?と考え直した。
「逆から読んでも〇〇」という言い方が私はけっこう好きで、エイプリルフールの日に書いたこれ↑の発展型でもある。
それはともかく、広瀬すずは吉田秋生の描く漫画の雰囲気とよく合っている。
8.アンタレス
じゃあどうもまた何かあったらアンタレスで会議するかもしないかも
「アンタレス」を「あんたの不在」とするこじつけは他の参加者もされていたが、自分は場所の名前として読んでも成立するようにしたかった。
9. 雷
薄墨の風吹きつける子ら雷に選ばれたなら天国に行け
雷が来る時の暗転する空の雰囲気を「薄墨の風」としたのが良いのか、それとも伝わっていないのかよく分からない。雷に打たれることを「選ばれたなら天国に行け」とするのは危なっかしい表現だが、自分ではまあまあだと思っている。今回の自薦ベストはこれ。
10.【枕詞】ぬばたまの
ぬばたまのふんぐるいむぐるうなふくとぅぐあふぉまるはうとな夜
クトゥルフ神話の呪文と「ぬばたまの」という音感が似ているので、強引に当てはめてみた。
- 作者: ダニエルハームズ,坂本雅之
- 出版社/メーカー: 新紀元社
- 発売日: 2007/02/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 99回
- この商品を含むブログ (35件) を見る