濁点・半濁点なし文:詩集「月に吠える」のヘスト10

 

 

このところ、すっかりこ無沙汰の「濁点・半濁点なし文」てある。

このまま「濁点・半濁点なし文」の灯を消してしまってよいのたろうか?

それはならし!

という訳て今回は特別に「何てもヘスト10」と合流させて、詩集「月に吠える」から詩を十篇選ひ、ヘスト10形式て紹介してみたい。

 

月に吠える (愛蔵版詩集シリーズ)

月に吠える (愛蔵版詩集シリーズ)

 

 

ところて、初めて読む方にひと言たけ言っておきたい。

「なせ、濁点と半濁点を抜いてしまうのたろう?」

なとと考えても無駄てあると。

理由なんて、ないのたから……。

当フロクの中ても「面白くて、ためにならない」点においてはフッチキリて一位になるようなカテコリーなのてある。

過去の分も含めて、あまりマシメに読まないてほしい……。

 

ますは第十位!

「天景」た!

 

 

 

天景

しつかにきしれ四輪馬車、
ほのかに海はあかるみて、
麦は遠きになかれたり、
しつかにきしれ四輪馬車。
光る魚鳥の天景を、
また窓青き建築を、
しつかにきしれ四輪馬車。

 

 

 

このモタンな色彩感覚!

ヒックリするほと今ても新鮮た!

 

 

続いて第九位!

「猫」!

 

 

 



まつくろけの猫か二疋、
なやましいよるの家根のうへて、
ひんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかつきかかすんてゐる。
『おわあ、こんはんは』
『おわあ、こんはんは』
『おきやあ、おきやあ、おきやあ』
『おわああ、ここの家の主人は病気てす』

 

 

 

これは有名な作品なのて、親しみやすさを出すためにランクインさせてみた!

最初に読んた時は「何たこりゃ」という感想を持ったか、今ても「何たこりゃ」度は少しも減っていない!

 

 

第八位!

「悲しい月夜」!

 

 

 

悲しい月夜

ぬすつと犬めか、
くさつた波止場の月に吠えてゐる。
たましひか耳をすますと、
陰気くさい声をして、
黄いろい娘たちか合唱してゐる、
合唱してゐる。
波止場のくらい石垣て。

いつも、
なせおれはこれなんた、
犬よ、
青白いふしあはせの犬よ。

 

 

 

てたー!

詩集のタイトルと同しフレースか出てくる詩たー!

ミューシカルのような洒落た雰囲気を出しているそ!

 

 

第七位は!

「死」!

 

 

 



みつめる土地つちの底から、
奇妙きてれつの手かてる、
足かてる、
くひかてしやはる、
諸君、
こいつはいつたい、
なんといふ鵞鳥たい。
みつめる土地つちの底から、
馬鹿つらをして、
手かてる、
足かてる、
くひかてしやはる。

 

 

 

地面から何かか出てくるという場面か、この詩集にはとても多い!

竹とか、手とか、顔なとた!

 

 

月に吠える

月に吠える

 

 

↑こんな感した!

 

 

続いて、

第六位は!

「蛙の死」!

 

 

 

蛙の死

蛙か殺された、
子供かまるくなつて手をあけた、
みんないつしよに、
かわゆらしい、
血たらけの手をあけた、
月か出た、
丘の上に人か立つてゐる。
帽子の下に顔かある。

 

 

何となく最後の一行てカメラかクーッと寄っていって、

クロースアッフになったかのようて、とてもカッコいい!

 

 

続いて第五位!

「くさつた蛤」!

 

 

 

 くさつた蛤

半身は砂のなかにうもれてゐて、
それで居てへろへろ舌を出して居る。
この軟体動物のあたまの上には、
砂利やしほみつか、さら、さら、さら、さら流れてゐる、
なかれてゐる、
ああ夢のやうにしつかにもなかれてゐる。

なかれてゆく砂と砂との隙間から、
蛤はまた舌へろをちらちらと赤くもえいつる、
この蛤は非常に憔悴やつれてゐるのてある。
みれはくにやくにやした内臓かくさりかかつて居るらしい、
それゆゑ哀しけな晩かたになると、
青さめた海岸に坐つてゐて、
ちら、ちら、ちら、ちらとくさつた息をするのてすよ。

 

 

 

くさつた蛤か主人公た!

そして、くさつた息をしている!

童話や民話にもあまり出てこないキャラクターか印象的な作品た!

 

 

続いて第四位!

「はくてりやの世界」!

 

 

 

はくてりやの世界

はくてりやの足、
はくてりやの口、
はくてりやの耳、
はくてりやの鼻、

はくてりやかおよいてゐる。

あるものは人物の胎内に、
あるものは貝るゐの内臓に、
あるものは玉葱の球心に、
あるものは風景の中心に。

はくてりやかおよいてゐる。

はくてりやの手は左右十文字に生え、
手のつまさきか根のやうにわかれ、
そこからするとい爪が生え、
毛細血管の類はへたいちめんにひろかつてゐる。

はくてりやかおよいてゐる。

はくてりやか生活するところには、
病人の皮膚をすかすやうに、
へにいろの光線かうすくさしこんて、
その部分たけほんのりとしてみえ、
しつに、しつに、かなしみたへかたく見える。

はくてりやかおよいてゐる。

 

 

何と、今度は、はくてりやに関する詩た!

猫や蛤はまた理解てきる範囲たか、はくてりやとは!

竹内まりや西内まりやもヒックリするようなアフローチた!

 

 

続いて第三位!

「およくひと」!

 

 


およくひと

およくひとのからたはななめにのひる、
二本の手はなかくそろへてひきのはされる、
およくひとの心臓こころはくらけのやうにすきとほる、
およくひとのはつりかねのひひきをききつつ、
およくひとのたましひはみづのうへのつきをみる。

 

 

 

おおーっと、今度は「ひと」の姿を描いている!

逆に意外た!

「およくひと」というヒネリかいいね!

 

 

 

そういうタイトルの映画もあったそ!

 

 

 

 第二位!

「愛憐」!

 

 

 

愛憐

きつと可愛いかたい歯て、
草のみとりをかみしめる女よ、
女よ、
このうす青い草のいんきて、
まんへんなくお前の顔をいろとつて、
おまへの情慾をたかふらしめ、
しける草むらでこつそりあそはう、
みたまへ、
ここにはつりかね草かくひをふり、
あそこてはりんたうの手かしなしなと動いてゐる、
ああわたしはしつかりとお前の乳房を抱きしめる、
お前はお前て力いつはいに私のからたを押へつける、
さうしてこの人気のない野原の中て、
わたしたちは蛇のやうなあそひをしよう、
ああ私は私てきりきりとお前を可愛かつてやり、
おまへの美しい皮膚の上に、青い草の葉の汁をぬりつけてやる。

 

 

 

おおーっと、ここへ来てまさかのお色気路線た!

「蛇のやうなあそひ」!

何という、巧みな表現なのたろう!

青い草の葉の汁をぬりつけてやるせ!

 

 

さあ、

いよいよ、

第一位は!

「山居」!

 

 

 

山居

八月は祈祷、
魚鳥遠くに消え去り、
桔梗いろおとろへ、
したいにおとろへ、
わか心いたくおとろへ、
悲しみ樹蔭をいてす、
手に聖書は銀となる。

 

 

 

 何ともシンフルな詩た!

そして最後の「銀となる。」という部分かよく分からない!

しかし、そこか謎めいていて魅力的なのた!

 

萩原朔太郎詩集 (新潮文庫)

萩原朔太郎詩集 (新潮文庫)

 

 

それては皆さん、さようなら!

次回の「濁点・半濁点なし文」をお楽しみに!


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