読書の秋

 

 

2017年の段階でもまだビデオテープを何十本も持っていて、テレビ番組を録画したきり見ていないものが結構ある。「山田風太郎が見た日本~未公開日記が語る戦後60年~」は2005年に録画したものをやっと見た。

 

山田風太郎が見た日本~未公開日記が語る戦後60年~(初回放送:2005年)作家・山田風太郎晩年の未公開日記から、戦後60年の日本社会、経済の起伏を見つめる。朗読:三國連太郎

 

www.nhk.or.jp

 

基本的には日記を辿りながら戦中、戦後の事件を時系列順に紹介するという流れ。

三國連太郎(1923年生)は山田風太郎(1922年生)と年齢が近いということで、戦争体験にもその後の感慨にも共感するところが多かったらしく(出征している・いないの違いはあるにせよ)、ガイドとして最適任者だった。

未発表の日記の記述が中心なので、山田風太郎特有のニヒリズムが表現の端々に横溢していた。国家や世の中や人間というものには何を言っても無駄でしかない、という傍観者の持つ諦念が一貫して流れている。

 

人間風眼帖―昭和21年‐昭和49年

人間風眼帖―昭和21年‐昭和49年

  • 作者: 山田風太郎,有本倶子,山田風太郎記念館
  • 出版社/メーカー: 神戸新聞総合出版センター
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: 単行本
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後で図書館で読んでみたところ、この番組で使われていた戦後の日記は「人間風眼帖」にまとめられている。

久々に「戦中派不戦日記」も読み返してみた。

 

新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)

新装版 戦中派不戦日記 (講談社文庫)

 

 

本書は山田風太郎が23歳の時に書いた昭和20年の日記である。

個人のオールタイムベストというレベルでも良書だが、日本人全てにアンケートを取っても最上位に来るかもしれないレベルの名著で、山田風太郎の小説をまったく知らない人でも一生に一度は通読しておくべき本である。

「この世界の片隅に」に感銘を受けた人なら、絶対に買うべき一冊である。

 

今週のお題「読書の秋」


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