登場人物のほとんどが日本語を話すのだが、全部イントネーションが変で聴きづらいという、日本人であることが鑑賞のマイナスに働くしかない作品である。そこを楽しむ余裕があるかどうか、許容できるかどうかが一つの分かれ道で「キル・ビル」で描かれた日本にエロとグロと純愛が足されて、もっと歪になって延々と続くような雰囲気だった。
「変な映画」「珍品」としても長く語り継がれそうなほどいい線いってるし、普通に二転三転する面白い物語でもあるので、145分という長さが苦にならない。それでもやはり長いことは長いので、一部、二部、三部と三日に分けて鑑賞する方がよく味わえるかもしれない。
一部のラストに衝撃のピークが配置されているため、その余波で二部が確実に面白く楽しめる。残りはまあ、後始末のようなものだろうか。原作者について多少の予備知識があればすんなり理解できる結末だが、ないとかなり意外かもしれない。
「お嬢さん」は貞子+浅野温子+松嶋菜々子のようなルックスで、最初はそうでもないが尻上がりに魅力が増してゆく。「最初はそうでもないと思っていた女優がだんだん綺麗に見えてくる映画」は概ね良い映画である。
モロ師岡のような顔の変態が出てくるのだが、この人も次第に魅力的になっているような気がする。「最初は変態だと思っていた変態がやっぱり変態で、不本意ながら次第に親しみを感じてしまう映画」は良作かどうか分からないが、一見の価値はある。