「映画術 その演出はなぜ心をつかむのか」を読んでいて、どうしても「座頭市」シリーズを観たくなったので、一作目から見ている。
まずは「座頭市物語」。あらすじはこんな感じである。
下総飯岡の助五郎一家に草鞋を脱いだ座頭の市は、壺振りでも居合い抜きでも目明きの及ばぬ凄腕の持ち主。
釣りで知り合った肺病病みの浪人・平手造酒に友情を感じるが、彼は助五郎と対立する笹川繁造一家の用心棒だった。
二組の間で小競り合いが続くが、市も平手も互いの剣に興味を持つものの、くだらぬやくざの喧嘩で斬り合うのは御免だった。だが、運命の皮肉は二人を戦いの場へと誘う…。
という訳で座頭市vs平手造酒の対決になる。その前にあれこれあって、一作目なので目が不自由だという描写がリアルなのだ。ふとした拍子に匂いを嗅ぐようなしぐさを見せたり、微細な動きに音で勘付いたりする。中でも「顔に触らせてくれ」なんていうセリフはエロい。
でもって、次は「続・座頭市物語」になる。これが本当に続編らしい続編で、逆にびっくりするほどだった。
関宿の本陣に逗留中の黒田家殿様の療治に呼ばれた市は、錯乱した殿様と会ったことの口封じのために命を狙われる。
飯盛り女お節のお陰で難を逃れた市は、心ならずも斬ってしまった平手造酒の墓参りのために一年ぶりに笹川へ向かった。
笹川では市の前に黒田家から仕事を請け負った関の勘兵ヱ、市を仇と狙う飯岡助五郎、さらにお尋ね者の隻腕の浪人・渚の与四郎が現れた。
実は与四郎はかつてひとりの女を巡って争った、市の実兄であった…。
昨今の映画で二作目になれば、まず「一作目を知らなくても独立しているから大丈夫」といった配慮をするのが当然のマナーになっているものだが、本当にストレートに一年後、またもや同じ人物が同じ役割で登場する。やはり「顔を触らしておくんねえ」的なセリフが出てきてエロい。
それからアクション場面でちょっと早送りになるのがいい。きんちゃく袋から小判を取り出して、気前よく渡すのもいい。ピンチになると若い女の子が助けてくれるのもいい。そして斬るとなると徹底的に斬る。アイアンマンとかキャプテン・アメリカくらいなら一瞬で半分に斬れそうである。朴訥な口ぶりも真似したくなってくる。
「そんじゃ……、あっしはこれで失礼しゃす」
なんて早速明日から言ってみたい。