フェリスというのは主人公の男の子の名前だが、タイトルだけを見ると女の子っぽいし、コメディっぽくもない。しかし内容はさほど切羽詰まった理由もないのに学校をさぼり、一日を謳歌するというコメディである。
そのさぼり方も、よく考えると下準備があれこれ必要なはず。しかし何でもスイスイと、スマートに予定通りに進んでいるように見える。たまにうまく行かないこともなくはないのだが、何とかギリギリで間に合うという調子の良さである。
観終わってみると、フェリス以外の人物某の成長物語風になっていたり、また別の人物は別の軌道を経てドタバタした一日になっていたり、もう一人の人物は主人公の知らない所で踏んだり蹴ったりの酷い目に遭っていたりする。しかしそれを不自然とは感じさせない。
何かに似ていると思ったら植木等の無責任男シリーズだった。何でもスイスイと、陽気にこなす愉快な男。成長せず、もてるという点では007シリーズ風でもある。
そういえば「かわいい魔女ジニー」のテーマがチラッと登場していた。個人的にはドゥーピーズの方を連想するのだが、まだこの映画の製作時点ではドゥーピーズはないので、もしかするとこの映画がヤン富田に示唆を与えたのかもしれない。
この間の「ザ・スイッチ」とも関連があるそうで、観てよかった。
『ザ・スイッチ』は『13日の金曜日』や『ハロウィン』といったスラッシャー映画とジョン・ヒューズ監督の青春映画にオマージュを捧げているとパンフに書いてあった。嫌な先生役のアラン・ラックに出演をオファーしたのは『フェリスはある朝突然に』オマージュだと知って驚いた。 pic.twitter.com/x9l95lzpTp
— ビニールタッキー (@vinyl_tackey) April 15, 2021