日本史の概要が分かる本を求めて……

 

 

日本史に関する需要はかなり高いらしく、知るべき理由も沢山ある。

おさらいとか復習とか学び直しとか、「オトナのための教養」とか、「仕事人としての常識」とか、「ビジネスマンとしての学び」とか、「大河ドラマの理解を深める」とか、アニメや漫画関連本とか、「今、歴女が新しい」とか、あれこれの理由がつく本が束になって一大市場を形成している。

しかし、概要がわかると言っても精粗さまざまで、大雑把に書いた本は「あれが書いていない」「これについて詳しく書くべきでは」という批判が絶えない。

細かく書いてあると、今度は「とっつきにくい」「もっとわかりやすく」となるのも容易に想像できる。

それよりもっと困るのは、書き手の顔や人柄が少しも見えない文章になっていることではないかと思う。

著者近影や経歴があるにしても、あまりに無味無臭すぎて、どこかのスマホショップの店員の説明を延々と聞かされているような味気なさばかりが残る、そういう文章で書かれた本がけっこう多い。

そういった独特の平板さが見えるようになると、逆に個性の際立った時代小説作家や学者の本が有難く思えてくる。

そこを「あれこれ手探りしながら、あっちこっち読む」といった調子で読み漁るのも面白い所で、いつの間にか変なコースに入っていたり、誤った知識を覚えていたり、俗説に魅了されたりを繰り返して、自分独自のカクテルのような知識と史観めいたものが生成されつつある。

これは独学者には避けられない落とし穴である。しかし、正式に勉強したところで多かれ少なかれ同じようなものだし、それを修正しながら学び続けるしかない。

一応、今は「一冊でわかる」というシリーズが自分に合っており、何というか「人当たりのいいマイルドな感じのスマホショップの店員さん」みたいな本である。

 

 

なぜか図書館によく置いてある本でもある。