ちょっとしたトラブルがあって、NTTやニフティのカスタマーセンターの人と電話で二時間も話をした。
覚えているだけで4,5人と会話したのだが、何かひと言でもやり取りがあると、その度に「ありがとうございます!」と言われるので、かえって疲れた。
「今、コレコレが何々になっていて、こうなってるんですけど」
「はい!ありがとうございます!それではAの何とかの型番をお教えいただけますでしょうか」
「〇〇の4567の2345です」
「はい!ありがとうございます!それではBの何チャラの何とか用紙に何とかの番号がございますでしょうか?」
「急に言われてもな~……あっ、あった!ありました!」
「ありがとうございます!それでは何とか用紙の番号とパスワードをご入力いただけますでしょうか」
「はい、えーと。入力しました」
「はい!ありがとうございます!それではCのDはコレコレですか?」
「そうです」
「はい!ありがとうございます!ではEのFをご案内いたします」
「お願いします!」
「はい!ありがとうございます!その前にGとHとIのご説明をさせていただきます」
「それは飛ばしていいのです」
「ありがとうございます!では何々ということで……」
こういう調子で、延々と続いたのであった。
昔、野田昌宏に「あけましておめでとう計画」というタイトルの本があったが、これではほとんど「ありがとうございます攻撃」で、何度も何度も言われ過ぎて耳の奥が「ありがとうございます」の形に変形する寸前まで行ったような心境である。
カスタマーセンターで不特定多数の客を相手にするオペレーターのためのマニュアルには、おそらく「何にでも必ずお礼を言うべし」と書いてあるに違いない。しかし、それを実際にやる側も気の毒だし、聞かされる側だって、いちいち「ありがとうございます」をやめろとは言えないので困る。