映画の感想を書いた直後はいつも、
「他にもっとあれこれ書いておきたい」
と思うのだが、読み返してみると書いたこと以外はほとんど何も覚えていない。
それどころか、書いてあることを読んですら思い出せない細部も結構あるものだ。
ゾルタン★星人
真面目に作っているのに馬鹿っぽくなる映画や、馬鹿馬鹿しい路線を狙って単につまらなくなる映画とは違って、アホらしい感じを狙って、律儀に伏線を回収しながらもアホらしくまとめている所がいい。
「24」のクロエが宇宙マニアの微妙な役で出ていた。
雰囲気ばかりがムンムンしていて、内実はちょっと肩すかしのような印象しか受けなかった。観るのがちょっと遅すぎたような気がする。シャーロット・ランプリングが出てくるとは意外だった。
たまたま今日やっていた「石原さとみ 私の愛するNY」という番組に出てきたコニーアイランドの遊園地がこの映画にも出てきた。
くりぃむナントカ vol.口
「ビンカン選手権」の第一回を収録。
第一回から自然な形で完成されているところが凄い。
「ビンカン選手権」だけで別のDVDにまとめてほしいくらい好きだ。
安いコントかと思うほど漫画チックかつベタな部分と、崇高な部分が嵐のようにゴチャ混ぜになっていた。
最終的には安定した図式に収まるが、そこまでが妙に観念的だったり周到だったり、行き当たりバッタリ風であったり、色々な意味でハラハラする。
肝心のいわば「討ち入り」の場面が変に空回りだし、教団の女がアホっぽい間延びした顔で説得力も色気もない。
冗長でバランスの乱れた65点の筋書きを、満島ひかりの存在感が120点の「映画」にまで引っ張り上げている。
前々から気になっていたのをやっと観た。
少しずつ前へ前へと遡っていく構成で、序盤も中盤も経験したことのないような感覚を堪能した。
「?」と「!」が交互に何度も来るようにデザインされているため、飽きたり先を予想する暇がない。
ラストも単に説明的なだけでなく、きちんと誤魔化さずに終らせていて見事。
普段使わない脳みその部位を使ったような感じがする。
二度三度、さらに逆順に観る価値のある作品。
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評判が良いので期待しすぎないように注意して観たが、序盤のサスペンス・ホラー的な流れで引きずり込まれた。
中盤もテンポよく、次第に「素晴らしき哉、人生!」っぽい雰囲気になってくる。
どう頑張ってもダメで八方ふさがりになる点と、過去の分岐点が少なくなってくるハラハラ感で最後まで持っていかれる。
こういう風にスリルがあって、よく出来た脚本の映画は最高。
音楽や幻想的なイメージの数々は良かったが、脚本がよくない。
ウディ・アレンの映画から起承転結を根こそぎ奪い取って、お洒落な風味を加えたような映画だった。
「平凡な男がモテモテになって困る話」かと思っていたら全く違っていた。
古風な三角関係の話で、厭な相手(恋敵)の記事を仕上げて朝になり、大人になりました、成長しましたという終り方かと思っていたらそのまた後のパートがあった。
この部分が奇跡的な展開&終幕で、その前の雨の夜の場面も良かった。
本当に腹の底から本音を怒鳴りあうのがいい。
中盤の麻生久美子も、風景も音楽もリアル。
TIME/タイム
所々「ローマの休日」風だったり「俺たちに明日はない」っぽかったりするがピンチが少しもピンチっぽくない上に、その切り抜け方はあまりにも常套的だろう、という部分が目立つので何だか損をしている。
設定の時点でもう余力がなくなって、脚本の細部にまで目が届かなかったのか。
たまたま吹き替えで観て、変な声だなと思っていたら篠田麻里子だった。
廃盤だったものが復活してくれて嬉しいものの「2」を先に知ってしまっている者としてはこっちが「2」の焼き直しに見えてしまう。
ファミリーがみんな魅力的(特にハンド)で、その他の人物もみなチャーミング。
ファミリー向け映画のパロディみたいな面もあるが、なぜかこの作品の持つ毒は自分を素直な気持ちにさせてくれる。
人生万歳!
最初は年寄りの願望を描いているだけのように見えなくもないが、あれこれと展開があって、結局は甘いようで苦く、苦いようで甘いといういつもながらの名人芸、これが40作目ということだが出来不出来にほとんど差がないところがすごい。
軽快でテンポの良い導入部、平均よりちょっと足りない感じの女の子、もう終わりかと思ったら一本だけ手がかりが残っていて……、という展開、アッサリした後味のよさ、などなど全体にスマートですっきりしていていい。
「イースタン・プロミス」に続いてスティーヴン・ナイト脚本の映画をまた観た。
やはりこれもサスペンスが映画の全編にずっと、静かに漲っている。
社会性と娯楽性を両立させている。
さらに起承転結の転が鮮やかで、わかりやすい。
そういうわけで自分としては◎。
終始ジタバタしない、腰の据わった作品で、雰囲気がちょっと高級なのでお芸術ぶっているのかと思うとアクションもあるし、絶えず脚本が「新しい局面」を切り開きつつ、しかも淡々と進む所がいい。
伏線もきちんと回収するし、音楽が控えめだし、どれもこれも自分の趣味に合っている。
デンゼル・ワシントンは最初いかにも「心理を操る」みたいなことを言われていて、観ている側としてはその要素で釣られるのだが、結局ただのいいおじさんでしかなく、ちょっとすばっしこいだけ。
ドラマの第一話の2時間SPだとしたら二話以降も観たくなる傑作だが、映画としてはこの長さでこの終わり方ではダメでしょ。
しかしついつい、やる側の味方になってあげたい気にさせる。
特典映像がけっこう長くて、未収録コントが意外とよかった。特に女二人のものは本編に入っていてもおかしくない。
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他の人は厳しい評価が多いけど、コント以外の「何とかメシ」のコーナーで大笑いしてしまった。
「ぬるぬる」の前半はくどいけど、後半すごく良かったし、赤えんぴつもいいし、音楽はサケロックでこれも良し。
これは前々から観たかった一作。
シャープなブラック・コメディ映画を期待していたのだが、長いゆるゆるなコントといった雰囲気だった。
些細なことでカチーン、ときてしまうママの「カチーン」の瞬間が実にコント的。
長尺だが飽きずに最後まで観ることができた。
タイトな構成、センスの良い悪趣味、理性的な野蛮さといったタランティーノ節が冴えている。自己紹介で頭を下げる馬とか、ボヨヨン、と動く歯とか、そういった細部もいいし、音楽も適材適所。
サッパリしていて、もたれない後味のよさ。
今回のまとめ
今回の中でおすすめできるのは、
やや複雑だが他の映画にはないユニークさが光る「メメント」
世評の高い「バタフライ・エフェクト」
個人的に好きな「イースタン・プロミス」
が三強で、いずれかと「ジャンゴ」を入れ替えても特に問題はない。
すんなり入っていけるのは「バタフライ~」で、これは近所のレンタル店ではいつ見ても借りられっぱなしになっている人気作品である。あと十年ほどしたら、誰もが知る名作、ということになっているかもしれないし、うまいタイミングでテレビで放映されて大ブレイク、となっても不思議ではない。
ただ暴力描写や虐待その他があるので、万人向けの明るい映画ではない。
将棋でいくら手を戻しても、強い人には勝てないと分かった時の気分のようなイヤ~な感じもある。
空間的にどこかに閉じ込められるのが不快であるのと同じように、時間的、可能性的な牢獄に閉じ込められてしまうサスペンス映画だということもできる。
ラストも色々と論議の分かれるところなので、とにかく一見の価値のある作品である。
「イースタン・プロミス」はちょっと意外なアクションシーンがあって、そこばかり取り沙汰される映画なのだが、それ以外の部分も先入観抜きで観てほしい良作である。