保険を知るための小さな鍵:大雪と火災保険

 

 

以前、「台風と火災保険」という記事を書いたことがある。

 

hint.hateblo.jp

 

その時に書いた「風災」の部分を「雪害」と書き換えるだけでも通用しそうな内容が今回の記事であるが、もう少し詳しく書く。

 

先に結論めいたことを書いてしまうと、風災(台風や竜巻)による損害は、火災とセットになっているので保険金がおりるケースが多い。また門や塀や車庫も「建物」に含まれるケースが多い。

 

 

www.tokiomarine-nichido.co.jp

 

↑このリンク先が典型的な例だが、台風(風災)や大雪(雪災)によって建物に生じた損害は大抵の場合〇(火災保険の支払い対象)になっている。

 

問題は前回の記事の終わりの方でも少し触れた、免責金額の設定である。

 

以前、大雪が降った際に「雪の重みでベランダが潰れた」というAさんから連絡を受けたことがあった。

修理の見積もりが数十万円になったという話だが、修理金額に10%ほどプラスして臨時費用も保険金として支払われるので、仮に修理費70万円でも77万円の保険金がおりる。

この場合は免責金額が5万円でも3万円でも、ほとんど問題にならない。

最終的な支払い額が72万円でも74万円でも、

「火災保険なのに、雪の時にも助けてくれた!保険金を出してくれた!」

と感謝されるほどである。

このケースが頭にあったので、別のBさんから「雪の重みで車庫の屋根が潰れた」という相談を受けた際にも自信満々で「保険金が出ますよ!」と言って、お客様どころか自分まで大船に乗ったつもりでいた。

しかし。

車庫の修理代は20~30万円程度だろうと勝手に考えていたのだが、実際に見積書が出てみると、4万9千円であった。屋根のプラスチック部分だけだったので、その程度で済んでしまったのである。

さらに、Bさんの場合は免責金額が5万円だったために……、つまり保険金は一円もおりないのである。

大船どころか泥の船であった。

その後のBさんとのやり取りは、思い出すだけで寒気がしてくるので書きたくない。

 

この経験を踏まえて、前もって大雪警報が出ているような時には、お客様に事前連絡することにしている。

「今、火災保険の免責金額が5万円になっておりますが、大雪に備えて5千円に変更しておきませんか?」

とご提案すると、大抵は喜ばれる(勿論、人によっては「必要ない」と言われる)。

 

木造家屋で免責金額を5万円から5千円に変更した場合、月々の保険料がおよそ四百円~五百円程度は上がるのだが、タイミングやお客様のご機嫌次第で「高い」とも「安い」とも思われる金額である。個人的には安いと感じる。

気になる方は、ぜひ大雪になる前に免責金額をチェックして、数万円であれば5千円程度か、あるいは0円にでも変更しておくべきで、とにかく中途変更しても大した負担にはならない。賭けというほどのものでもない、生活の知恵である。春になったらまた戻すことも可能である。


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