相撲の見方がわからない男

 

 

「いよいよ何とか場所が始まりますね!」「楽しみですね!」

といったやりとりを朝からNHKのアナウンサーがしていた。

とりわけNHKは「相撲が好き=当然」という空気を数十年かけて醸成しているので(なぜ相撲中継は他局こみで持ち回りにできないのだろうか)、さも一大イベントの開始のようだが、私の場合、実は相撲の良し悪しどころか、そもそもあの一回一回の対決(取り組みというか勝負というか試合)の見方の勘所がわかっていないのであった。

プロレスやサッカーの場合、見方を習った訳でもないのにごく自然に見て楽しめる。

ところが相撲は遠目にチラチラ見てはいても、白い肥満体と白い肥満体がグニャグニャしていて、体と体が激突した後、どちらかが倒れたり、外に出されたりする、はい終了!としか見えていないのである。その間がせいぜい十数秒から数十秒程度で、見方を学ぶ暇がない。

プロレスは「若くて、明るくて正義感が強そう」な男と、「黒いコスチュームで、いかにも悪そう」な巨漢が音楽つきで出てきて、悪い方はわかりやすく反則攻撃までしてくれる。

よってストーリー(勧善懲悪、または悪がはびこる)が見えやすいのである。

相撲はそもそも登場人物がわからない。徳川家何とかがずっと続く家系図のように、どれも同じように見える。藤子不二雄の「モジャ公」で、同じ星の宇宙人が集団で撮った記念写真を見て「全員が同じ顔じゃないか」「見分けがつかない」と他の星の宇宙人がブーブー文句を言う場面があって、それと同じである。

 

モジャ公 (藤子・F・不二雄大全集)

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しかし、相撲好きのお年寄りが何か特殊な見方をマスターしているという訳でもなさそうで、あれはやはり自然に学んだものと思われる。

それなら、後から学ぶ場合に入門書のようなものはあるのだろうか。

と考えて調べたら結構あった。

 

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おそらく、相撲を詳しくは知らない日本人が、急に接待で外国人と相撲観戦、といったケースがこの種の本のニーズを支えているのではないだろうか。私の場合は、緊急の必要には迫られていないのだが、ちょっと読みたくなってきた。