実際に健さんに接した人たちへのインタビューを中心に、あれやこれやの思い出話が続く。
特に意外性がなく、テレビの追悼番組などよりも少々浅いような出来栄えではないかと思った。出てくる関係者みなが「実際出来そうだった、健さんも乗り気だったが実現しなかった」という企画を持っていて、そこが面白い。ゴジラ、三島由紀夫、「サムライ」のリメイク、ベスト・キッドの師匠など。
健さんは立派で、背筋がピンとなるような佇まいである。仕事が終わると区切りをつけるために旅に出るという。そして、演じたい役柄は「日本の男」だという。
川本三郎が何人かの俳優の名前を挙げて「サムライ」「青年」「アウトロー」と分類して、その三つのタイプを兼ねている点に健さんの独自性があると指摘していた。
別の誰かは、何を演じても「健さん」になってしまうと言っていた。自分も「駅 STATION」くらいになるともう映画というより「健さん」を立てるためのPVのように思えて白けてしまった。
今の木村拓哉もそんな感じになりつつあって、いつも同じような「キムタク」用の役ばかりを演じて、スターにも庶民的にもなりきれず気の毒に思う。