「フリーソロ」

 

 

命綱なし、よじ登るためのロープなし、しかも単独で断崖絶壁をよじ登るのが「フリーソロ」である。

この映画はフリーソロに挑むアレックス・オノルドのドキュメンタリーで、映画にスリルとサスペンスばかりを求めている自分にはぴったりである。

しかし、ぴったりすぎる上に限度を越えており、ほとんど恐怖を感じてばかりの一時間半であった。いよいよとんでもない崖を登りますよ、という段階になって、急に周囲の人物が悪い夢を見たり、本人が原因不明のトラブルによる怪我をしたりする。

 

フリーソロ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: Blu-ray
 

 

普通の物語なら「はいはい死亡フラグ出ましたね」と思うだけの素朴な前兆、見飽きているありがちな手法にすら本気でハラハラできる。

で、もっとも怖かったのは本人が崖をよじ登っている姿を見て「とても正視できない」と目をそむけて怖がっている人の様子であった。それを見た私はつられてもっと怖くなってしまう。恐怖は伝染するので、そういう素朴な感情を久々に味わえてよかった。

 

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もう一つ、メチャクチャ怖かったのは予想外のタイミングで、予想外の場所にかぶりものをした人物が唐突に現れた場面だった。あれはいったい何だったのだろうか?本人も撮影隊もさらっと流してしまったし、説明が後でされるかと思ったら無し。もしかすると大事故になっていたかもしれないし、いたずらにしては場所が場所でありすぎるし、そこもあれこれ考えるとホラー映画よりもずっと恐ろしい。

 

TED↓でご本人の弁が聞ける。

 

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